マーケティングに活かすべき5つの心理的トリガー

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Drip(マーケティングオートメーションプラットフォーム)

他人の気持ちを動かす何かをはっきりと理解するのはスキルだ。アートと言ってもよい。心理学の先駆者、アブラハム・マズローはそれを解明すべく多くの時間を費やし、数年間に及ぶ観察を経て、人々の行動の原因を説明する理論にたどり着いた。

最も低次の生理的欲求から、最も高次の、自己実現を目指す高貴な欲求まで、人々に動機をもたらす欲求段階説を彼は構想した。

マーケティングのエキスパートたちはすぐさまマズローの欲求段階説の実用性に気づいた。人々の欲望に訴えることができれば、あるいは人々が持つ恐れを利用すれば、その購買行動もコントロールできると考えたのだ。図らずもマズローは、人々の感情のトリガーがどこにあるのかを指摘していたからである。

マーケティングトリガーの活用は時に、性的に挑発する写真と同じくらいあからさまだ。これはマズロー氏の段階で言えば、底辺の層である。しかし逆に、非常にかすかで分かりにくい場合もある。例えば、オンラインコースがいかに個人の社会的評価を高め、成長を促すかを示すのは、欲求のピラミッドの最高位に近いだろう。そして先の写真と同様に、なお効果的だ。本記事では、5つの感情的、心理的トリガーを明らかにし、それらのマーケティング活用法をご紹介する。

1: 社会的欲求

階層の上方に進むにつれ、欲求は突き止めにくくなっていく。しかし、特に生存に不可欠ではないものを売りたい場合は、おそらく大きな効果を生み出しやすいだろう。次の段階に上がると、より感情的な欲求が生まれてくる。誰もが生まれながらにして帰属の欲求を持っているのだ。

まず家族に属するところから始まり、成長するにつれ友人仲間が欲しくなり、社会的なサークルの一員になりたいと思うようになる。

ソーシャルメディアが存在するのは、この基本的な欲求ゆえである。マーケティングに大きな効果を及ぼす強力で感情的なトリガーだ。

刺激する方法

  • 人々が互いにつながり、愛されていると感じられるようにする、あるいはサポートグループの一員になることを示す。

  • 「この(成功した)人たちが使っているんですよ」、というように社会的証明の力を使う。

  • 人々を社会的コミュニティに招待する。つまり、歓迎とおもてなしの気持ちを表現する。

  • 相互依存の原則を使う。人々にこちらから価値のあるものを与えると、潜在顧客はお返しをしなければ、という気持ちになりやすい。暗黙の社会的法則である。

2: 豊かさの欲求(そして欠乏に対する恐れ)

マズローのピラミッドの底辺には基本的な人間の欲求がある。生命を維持するための心理的な必要であり、セックスやお金のニーズも含まれる。これらのニーズが満たされると人は喜びを味わい(一時的ではあるが)、満たされない時には痛みやストレス、恐れさえ抱く。このあらゆる基本的な感情は大きな急所だ。

基本的な人間の欲求を直接満たす商品でないなら、あとは間接的に結びつけるしかないのか、と思うかもしれない。幸い、それは大した問題ではない。なぜなら、マーケターの唯一の仕事は、プロダクトを真っ当なアイデアや心理的なイメージに関連づけ、適切な感情を引き出すことだからだ。

アイスクリームからオフィス文具まで実にあらゆるものを売るべく作られた、数多の性的なイメージ広告について考えてみよう。その秘密は単に連想の力だ。2つのアイデアを一緒に並べるだけで、自動的につながりが形作られる。

同様に、他の基本的欲求にも訴えることが可能だ。思い出してほしい。誰もが豊かさを求め、欠乏を恐れているのである。あとはただ、あなたのプロダクトを使えば顧客に富がもたらされることを示すだけである。そのプロダクトはなぜ珍しく稀少なのか、なぜ必要なのかを見せなければならない。あるいは、人工的に希少性を作り上げる必要があるかもしれない。

刺激する方法

  • 「(このユニークなリソースを使えば)あなたの収入は2倍になる」、というように収入アップの起爆剤になることを示す。

  • 「貧乏アーティストに甘んじるな、(このプロダクトを使って)次のクライアントを確保しよう」、というように、欠乏の恐れを取り除くことを示す。

  • 季節限定、あるいは期間限定セール(「今夏限り、6月12日まで有効」など)で希少性を作り出す。

3: 安全の欲求(そしてリスクに対する恐れ)

生命に不可欠なニーズの供給元にアクセスできたら、次はその供給元を確保したくなる。それがひとつ上の欲求の段階だ。この層における感情のトリガーは、生活、健康、家族、そしてもちろん、仕事の安全と保証のニーズだ。

このトリガーには2つの角度からアプローチできる。直接信頼を促し、人々に安心を感じさせるか、潜在的なリスクを指摘してその防ぎ方を示すかのどちらかだ。

刺激する方法

  • 人の安全欲求に訴えるイメージやアイデアを使う。

  • クライアントの体験談や、あなたが信頼に足ることを実証する。あるいは、信頼できる機関などが発行するバッジや認証で、信用を促す。

  • 共通の敵を作り出し、それに対する勝利を保証する。例えばデザイナーであれば、品質の低いデザインがいかにクライアントの敵になるかを説明し、それに打ち勝つためのサポートができることを示す。

  • 売上低下やムダなコストの発生、収入低下といったリスクを指摘し、あなたのプロダクトがいかにそのリスクを最低限に抑えるかを示す。

4: 承認の欲求

人は、ある時点からグループに帰属するだけでは満足できなくなる。これはピラミッドのまたひとつ上の段階だ。人々はさらに、他人から愛され、敬意を払われ、そのグループの中でも個人として必要とされたいと思うようになる。仲間からの尊敬を感じる必要が出てくるのだ。

これもまた、ぜひ活用したい強力な感情のニーズである。あなたの商品を使えば、群衆の中で目立てるだろうか。個人のブランド、自尊心、あるいは彼らの企業イメージを増強できるだろうか。

刺激する方法

  • あなたのプロダクトやサービスを購入しさえすれば、目立つ存在になれることを訴求するイメージを作成する。

5: 自己実現の欲求

最終的には、誰もが人として進化したいと考えるようになる。銀行の残高や社会的な地位に関わらず、自分の人生に意味を見出したいと望む。この欲求がマズローの欲求段階の頂点だ。

この欲求は、いったん他の切迫した欲求がすべて満たされ、数年を経て生まれてくることもある。自己実現の達成の欲望には様々な形があり、有効なマーケティングトリガーになる。この欲求を満たすことができれば、あなたという個人にとっても見返りが大きい。

あなたのプロダクトは人々が成長、あるいは個人として発展する助けになるだろうか。人を教育し、力を伸ばし、挑戦を突きつけるものだろうか。彼らが最高の理想を表現したり、教え手になったりするサポートをするだろうか。以上がもし当てはまるなら、次のトリガーを使うとよい。

刺激する方法

  • 人々が「最高のバージョン」の自分になれるようサポートし、自己実現欲求に訴える。

  • オーソリティになる。最上階層の欲求にアピールするには、あなた自身が知識を備えた権威ある人物として見られなければならない。あなたの分野のマスターになり、人々を本当に成長させる何かを提供しよう。

  • 人々は、小さく無意味な生活に囚われたくないと考える。彼らの人生体験を押し広げ、深められることを訴え、大きな自由を提供しよう。

まとめ

マズローの欲求段階説がマーケターにとって非常に有意義であることを解説してきた。人は純粋な実用目的だけでなく、感情的な理由で買い物をするものだ。以上の心理的トリガーを理解すれば、マーケティングの威力をさらに高めていけるだろう。

人はひとりひとりが、人生という旅の途上にある。その旅の中で、各人が欲求の段階を昇って進化してゆく。あなたにお金を払う他人の身になって、彼らのどの欲求が最も差し迫っているかを考えよう。

マズローの欲求段階説

1. 生理的欲求
2. 安全の欲求
3. 社会的欲求
4. 承認の欲求
5. 自己実現の欲求

それぞれが、感情的なインセンティブを作り出すトリガーポイントだ。効果的なマーケティングを支える駆動力である。