アフォーダンスはデザインの実用的なツールである

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経営アドバイザー、TEDスピーカー、作家。

アフォーダンスは効率を追求する伝統的なエンジニアリングと、人のニーズや要望、感情にフィットすることを目指している機能との橋渡しをすることである。TEDスピーカーDon Norman氏による、アフォーダンスの概念についての考察。

この耳慣れない言葉「AI EDAM」とは、『Artificial Intelligence for Engineering Design, Analysis and Manufacturing.(エンジニアリングデザイン、分析と製造のための人工知能」)』の論文を意味している。以下の文章は、2015年に出版されたアフォーダンスについての特集号で発表されたこの論文に寄せたコメントである。

記事全文はケンブリッジ大学出版局のサイトからPDFで入手可

アフォーダンスの概念

アフォーダンスの概念には興味深い歴史がある。1970年代後半に知覚心理学者J.J. Gibson氏の鋭い批評と考え方から始まり、1988年出版の著書『日常物のデザイン』(後のオリジナルタイトルは『日常物の心理学』)を機にデザインの世界へも移行していく。そして2001年のMaier氏とFadel氏の論文でエンジニアデザインの分野でも論じられるようになる。

この異なる学問分野間での進出は、結果としてアフォーダンスの概念は、生態学的心理学、デザイン、エンジニアリングデザインと異なる領域でそれぞれ息づいていく。それぞれが他領域に作用するとは、ほとんど気づかれていない。

アフォーダンスの概念についての私の主な関心は、この特別論文の著者の関心と同列だ。すなわちデザインの実用的なツールとしてアフォーダンスを使用するということだ。彼らの論文が取り組んでいる問題は、実用的かつ、信頼でき、入手可能で、機能的で、使いやすく、理解しやすいデザインとオブジェクト、システムについてである。アフォーダンスは、上記すべての面で重要な働きを担う。因襲されてきた昔からの芸術や建築学を学んできたデザイナーか、人間中心設計で、反復プロトタイプ、テスト、リバイス哲学を用いたシステム分析を現代的な土台を持つデザイナー、またはより強力な形式的なデザインの手法やツールを駆使したエンジニアリングデザインを学んできたデザイナーと、育ってきた畑の違いにかかわらず、目指す目的は同じである。

アフォーダンスは効率を追求する伝統的なエンジニアリングと、人のニーズや要望、感情にフィットすることを目指している機能との橋渡しをすることである。

私が懸念していることは、エンジニアリングとデザインコミュニティーの間に関わりがないこと、両者の目指す方向性につながりがないことである。

今回の論文はエンジニアリング設計の観点から、アフォーダンスの優れた対処法を示している。そしてエンジニアリングの理解を価値ある方法で前向きに浸透させている。

デザインコミュニティーにおける研究の課題

今こそ、デザインコミュニティーにおける既存の慣例の中で、この研究を完成させるときである。ただ1つ問題なのは、エンジニアとデザイナーが、別々の論文を発行し、別々のカンファレンスに参加していることである。デザイナーはDesign Issues, Design Studies, International Journal of Designといった論文集を発行している。

アフォーダンスとデザインについての論文集の中で、両者に言及しているものはDesign Studiesのみであり、それもPolsによる論文1つだけだ。「AI EDAM」という論文集で論文が発表されても、たとえ分かりづらい略語を正式名のArtificial Intelligence for Engineering Design, Analysis and Manufacturingとしたところで、デザイナコミュニティーの人間にとっては、なじみのない名前でしかないのである。

すべてのコミュニティーで、それぞれの当事者による問題への見解を通して、意義のある貢献がなされている。私はそれぞれのフィールドの洞察力を、新しい、調和したものにしていくための努力を、多くの新しく刺激的な創発特性をもって、まとめ上げていきたいと思う。