アプリストアに最適化する方法

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アプリの開発にはたくさんの手間と時間がかかる。しかし、リリース後いかにダウンロードしてもらうかも重要な問題だ。アプリのタイトル、説明の基本から、新規ユーザーの獲得、ローカライズ、エクスペリエンスまで含めた「アプリストア最適化(ASO)」の提案。

何カ月もかけて素晴らしいアプリを開発し、承認プロセスも通過したので、あなたはちょっと祝杯を挙げてから、そのアプリを晴れて公開したことだろう。

アプリの公開前にあちこちのブログで宣伝したりしただろうから、公開初日にはそこそこの数のダウンロードがあったかもしれない。しかし、AppleのApp StoreにもGoogle Playにも100万点を超えるアプリが収録されている昨今、人々が漫然とアプリストアを眺めている間にたまたまあなたのアプリを見つけてユーザーになってくれる可能性はかなり小さい。

実際、可能性は小さいどころの騒ぎではない。Forrester Researchが実施した調査によると、全iOSアプリの63%、および全Androidアプリの58%は、ユーザーがそのアプリに出会うきっかけが「インターネット検索」のみに限られていたという。この結果は、検索エンジンからみたアプリの見つけやすさこそ最大の資産だという事実を裏付けている。

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全iOSアプリの63%、および全Androidアプリの58%は、ユーザーがアプリに出会うきっかけが「インターネット検索」のみに限られている

Webサイトを作成した場合に、それを検索エンジンに見つけてもらいやすくすることに気を配らなければならないのと同じように、アプリに人々の注目が集まるように、時間をかけて仕掛けを施すと、ダウンロード数は大きく変わってくる。

そこでアプリストア最適化(ASO)を提案したい。

アプリストア最適化の基本

免責事項:ASOは比較的新しい分野なので、その重要性を巡る議論は今なお少なからず発生している。常に重視される要因は、デザイン、ノベルティ、ユーザビリティ(使いやすさ)であり、お粗末なデキのアプリに対してASOを実行するのは、ゴミを磨き上げてダイヤモンドに見せかけ、売りつけるようなものだ。それでもアプリ開発に心血を注いだのなら、ユーザーにそのアプリを見つけてもらえるように、どんなことでも実行するべきだ。

最も基本的な定義として、ASOとは、あなたのアプリを探し当てた(または気に入った)人にそれを確実にダウンロードしてもらうための実践だ。

言い換えるとASOとは、アップストア内の表示を最適化し、見込み客であるユーザーに、これなら金を払ってもいいと思ってもらえるような適切なビジュアルを提供するだけにとどまらず、アプリの見つけやすさと、キーワード検索などの自然検索についてのテストとイテレーションも含めた活動を指す。

iOSにしてもAndroidにしても、昨今のアプリストアは急激に拡大していることを考えると、このタスクはたやすいものではない。それでも、一番手を付けやすい(かつ最も重要な)のはキーワードだ。

アプリストアから検索エンジンに接続するアルゴリズムは、どちらも似たり寄ったりだ。つまり、検索時のアプリの見つけやすさを向上させる際、キーワードは大きな役割を果たす。

モバイルアプリに特化したマーケティング会社、 Sensor Tower のKaren Biscopink氏は、アプリのリストの中でどのキーワードを対象にするかを決めるには、次の3点に留意するべきだと説明する。

1. 関連性
アプリの名前として付けた語やフレーズは、そのアプリに本当にふさわしいものか。断言できないのなら、その名前を使うべきではない。あなたのアプリをアプリストア上で見ただけで「これはワナだ」と感じた人々は、絶対にダウンロードしないだけでは収まらず、友人や同僚などの周りの人々にそのアプリの悪評を言いふらす可能性が高い(しかも、前述のForresterの調査結果によると、クチコミはASOではかなり重要な要因の1つに上げられている)。
2. 競合性
あなたが狙っているキーワードを同じく狙っている他社は、どれだけ存在するのか。
3. 検索トラフィック
アプリに対して設定したキーワードが定期的に検索されていることを確認する場合、トラフィックを考慮する必要は全くない。「Facebook」などでのランキングが2485位になるよりも、関連キーワードのランキングを上げることのほうがずっと重要だ。

ただ、検索に関する調査をいざ実際に始めてみると、2つのアプリストアの運用方法には微妙な違いがある。

AppleのApp Storeでは、デベロッパーは100文字までのキーワードを設定できる。だから綿密な調査を行って、その与えられたスペースを有効に使う必要がある。

一方、Google Playの運用規則はこれとは全く違う。こちらのアプリストアには、デベロッパーがアプリにキーワードを設定する仕組みがない。Androidアプリのランキングは、アプリのdescription(説明)フィールドの内容に基づいて決定する。

このような違いがあるにもかかわらず、Biscopink氏は、アプリのランキングに最も大きく影響を及ぼすのはタイトルなので、特に注力するべき点はここだと説明している。

あなたのブランディングの方針に違反しないのであれば、アプリのタイトルに、最も重要なキーワードを2~3個含めておくといい。ただし、その複数のキーワードを1つの論理的なフレーズにまとめなければならない。タイトルの中にキーワードがでたらめに設定されていると、アプリのレビューアは評価を送信することすら拒否するかもしれない

他のアプリの成功にあやかってその名前を勝手に拝借すれば、ユーザーに対するアプリの露出度を上げられるような気がするかもしれないが、この戦術が当たった試しは(ほとんど)ない。キーワードを選ぶ際に最も重視するべき要因は、常に関連性だ。

新規ユーザー獲得のために

こうして新しいアプリのキーワードを設定し、完璧なタイトルと説明文も用意した。さて次は何をするか。

ユーザーがアプリストアのリスト上であなたのアプリを見つけたとして、そのアプリを確実にダウンロードしてもらうにはどうすればいいのか。

最善の方法として、アプリに対して設定する語句よりもアプリのデザイン自体に工夫を凝らすことが挙げられる。

Twitter社の創設に加わったEv Williams氏は、「テクノロジーの進化によってユーザーは、単に新しい機能が提供されるだけでは満足しなくなった」と書き残している。今どきのユーザーは、アプリやウェブサイトに対しては総合的に質の高いエクスペリエンス(操作感)を期待するので、それが得られないと分かるとすぐにそっぽを向く。

また、Googleが公表した調査結果によれば、新しいウェブサイトやアプリについて、ユーザーはわずか0.5秒で、その機能や美観の印象を判断するという。この時間の長さはアプリを最適化しても変わらないと、Biscopink氏は説明する。

ASOとは結局キーワードに工夫を凝らすだけのものだろうと、よく誤解される。アプリストアのリストに表示される内容は、アプリのプロファイルを見つけてもらえる程度に目立てば十分だ、それだけでユーザーはダウンロードするものだと思われている。

リストに表示される内容のデザインが注目される機会はあまり多くないものの、インパクトの強いアイコンを考案したり、アプリストアで提示するスクリーンショットを工夫したりすることには、新規ユーザーの獲得につながるという意味で、実は大きな効果がある。

ローカライズを考慮する

キーワードを最適化し、アプリストア内で提示するアプリ用コンテンツのデザインに磨きをかけたことによりダウンロードが増え、一定の評価を得たアプリについては、App Store、Google Playともに、そのアプリを(英語圏以外にも)拡大する用意が整っているとみなし、アプリストア内で提示するコンテンツを外国市場向けにローカライズする機会を提供している。

ローカライズとは単純に、英語圏とは異なる市場に対して、言語表現とデザインの両面からアプリの魅力をアピールするプロセスだ。

まず手始めに、アプリのタイトル、文字が含まれるスクリーンショット、キーワードなどのメタデータを全てローカライズする。続いて、説明、通知、ヘルプのテキストなど、アプリに含まれているテキストを全てローカライズすることに注力する。

日本語のApp Store用にローカライズされた例として、Supercell社のゲーム「Boom Beachのコンテンツをお見せしよう。

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大して変わっていないように見えるかもしれないが、アプリの発行元、Supercell社によると、アプリの説明をローカライズしたことにより、ダウンロード数が4~5倍増えたという。

こうしてダウンロードが増えると、必然的にレビューのコメントも増え、ひいてはApp Store内のランキングの向上につながったとBiscopinkは話す(ただしローカライズ対象の言語で書かれたレビューの評価内容を読み取り、問題が発生している場合にはカスタマーサポートも実施する体制を整えることが前提となる)。

まずはアプリの公開を目指している段階で、ローカライズとは気が早いと思うかもしれないが、ローカライズは「後で考えれば十分」なことではない。アプリを国外でもリリースしようと計画している場合は、開発中の段階からローカライズを考慮に入れて作業を進めるべきだ。Googleはローカライズの主要な要素のチェックリストまで用意して、アプリを全世界対応にする作業を支援している。

常にエクスペリエンスを最優先する

どれほど最適化を実行したとしても、アプリの質の高さと、あなたのブランドに対する信頼がなければ、チャートの順位が上がることは期待できない。

これについて、Forresterのバイスプレジデント兼主席アナリスト、Thomas Husson氏 は次のように話す。

ユーザーと向き合うのは、マーケティングのキャンペーンというよりも、専門家、友人、親類など、自分が信頼している人に会う時の感じに近い。従って、ユーザーに対して約束した通りのことを実現し、あなたのブランドを信頼する人々のコミュニティを築き上げることが大切になる。

常に最優先しなければならないのは、エクスペリエンスだ。それがなければ、アプリの販売者は、怪しげなセールスマンと何も違わなくなってしまう。アプリストアを運営する両社とも、その点はよく承知している。

ASOは、注目を集めるための近道にはならない。アプリストアでどのアプリを特集するかは、編集に携わるスタッフの裁量に任されている。特にAppleでは、App Storeの特集で取り上げてもらうよりも、最新のテクノロジーで利用できるものを全て投入した、質の高いアプリを開発することの方が重要だと、専門家は口をそろえる。

公共交通機関の乗り換え案内アプリ「Transit」はAppleのApp Storeで何度も取り上げられた有名アプリだが、開発者であるSam Vermette氏は次のとおり、はっきり言っている。

そのアプリが使いたいからiPhoneを買ったと、人々に言わせるようなものを作ることを目指すべきだ。

この発言は、そのレベルに達しないと特集で取り上げられないという趣旨ではない。アプリの人気と見つけやすさは、そのアプリがアプリストアで取り上げられるかどうかについて、何ら害を及ぼすものではない。ただしユーザーは、ダウンロードしたアプリが期待ほどの働きをしないと分かると激しく失望するので、それを嫌う場合が多いが、同じように、売り込みばかりが派手で中身が伴っていないと、アプリの公開はやはり悲惨な結果に終わる。

まとめ

重要なので改めて特筆するが、SEOと同様に、アプリのASOは現在も進化を続けているプロセスだ。「一度設定したら後は放置するだけ」というわけにはいかない。ウェブサイトでの自然検索のトラフィックを向上させるための仕込みに多大な時間と労力を注いだ人にショックを与えたくないので、ここで断っておく。

ただし、素晴らしいアプリを構築するために時間をかけたのであれば、そのアプリはアピールする価値が大いにある。参入した市場でアプリの最適化を実行し、ユーザーエクスペリエンスと少しの運が味方すれば、様々な雑音を乗り越えるほどの、10%以上の売り上げ増が実現する場合もある。