デザイン×マーケティング — アップルが世界をリードする3つの理由

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「持っているだけでワクワクするデバイス」、「人に自慢したくなるデバイス」。
これがiMacをはじめ、iPadや iPhoneなど、世界をあっと驚かせたアップル製品の魅力ではないでしょうか。
その根底には、「夢を売る」という強い意志がありました。

アップル創業者である故スティーブ・ジョブズ氏の最初の仕事場は、自宅のガレージだったと言います。決して快適とはいえないガレージで、スティーブは夢を見ました。その夢とは、「持っているだけでワクワクするデバイスを創る」こと。

アップルはその後、何度か危機を迎えながらも現在のメガ企業へと成長します。その夢を実現した背景には、「デザイン哲学」「右腕デザイナー」「マーケティング」 の3つの信念がありました。

アップルを支え続けた3つの信念

1. 揺るぎないデザイン哲学

「見えないものにこそこだわれ」--これはアップル創業者スティーブのデザイン哲学ですが、これを叩き込んだのが彼の父親でした。スティーブがまだ少年の頃、父親はこんなことを言ったそうです。

「君が家具職人だとして、タンスを作るとしよう。タンスの後ろ側は壁にピッタリつけるから、誰にも見えやしないんだ。でもね、だからといって安物の合板にしちゃいけないよ。だって、良い木材を使えば、君自身がいい夢を見られるんだから。」

この教えはスティーブの心に深く刻まれ、やがて「見えないものにこだわる姿勢」は彼のデザイン哲学になりました。アップル創設後も貫き続けた、その姿勢こそは、やがて圧倒的な商品を生み出します。

2. スティーブの右腕デザイナー

優れた経営者には優れた右腕がいると言われます。スティーブの右腕として活躍したのが、現在のアップルを創ったといわれているデザイナー、ジョナサン・アイブです。スティーブは、ジョナサンを「精神的つながりを感じる人物」と高く評価し、カラフルなiMacやiPodなど世間をあっと驚かせる製品を次々と世に出していきました。

「シンプル」--これがジョナサンのデザイン哲学です。
本質を際立たせたシンプルなデザインは、逆にコンテンツを引き立て、揺るぎない美しさを放つまでになりました。

3. アップルのマーケティング戦略

アップルが世界をリードしている理由はデザインだけではありません。「マーケティング戦略」もそのひとつ。その最たるものがiPodであり、iPhoneです。

iPodもiPhoneもゼロから開発されたものではありません。iPodは、SonyのWALKMAN、iPhoneは、NTT docomoのiモードに新たな機能を加え、クールなデザインを施した、いわゆるイノベーション製品です。そんな製品が爆発的に売れた理由は、優れたマーケティング戦略にありました。
アップルの戦略には

  • 各種メディアを活用した戦術
  • 挑戦的でクールなCM
  • 直営店のみの販売
  • 独自企画によるユーザーの囲い込み

などがあります。こういった巧みな戦略でアップル製品を持つことそのものがクールであるという意識を植え付けていったのです。

夢を売る企業アップル

アップル製品に人は何を求めるのでしょう? 新製品の噂だけでニュースになり、徹夜してでも手に入れたくなるデバイス、持っているだけで楽しくて嬉しくて人に自慢したくなるデバイス、そんなモノはどこを探してもアップルの製品以外にありません。

モノを売ることそのものが厳しくなった時代、アップルの製品だけが売れるのは、そこに夢があるからです。アップルとは、今は亡きスティーブが作った、いわば夢のワンダーランド。人々はそこに入るためにアップル製品を買い、同じ夢を見るのではないでしょう。アップルが夢工場であり続ける限り、私たちも夢を見続けます。

参考:
The 6 Pillars Of Steve Jobs’s Design Philosophy
未知のデザインに挑む、ジョブズの右腕 瀧口 範子
(第13回)アップルとソニー その差はどこにあるか 野口悠紀雄

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