残念ながら仮説検証にはお金は払われない

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Proof(現Neo NYC)をJosh SeidenとGiff Constableらと立ち上げた時、私たちはクライアントにとって有意義でかつ、実りの多いインターネットビジネスを設計・構築できる会社にしようというビジョンを抱いていました。特にクライアントの予算が一つの方向性で決まってしまう前に、我々はアジャイル開発手法とリーン思考を用いて、早期に実証実験、検証、軌道修正が行えることを重視したのです。

こうしてサービスを売り込んで行くわけですが―

打ち合わせ後のクライアントからは、よく同じことを言われました。「素晴らしい仕事の進め方だとは思うが、私はただiPhoneアプリが必要なだけなんだ」というものです。こうした打ち合わせの反省から、とある事を思うようになりました。

クライアントは実験にお金を出そうとは思わないのだ。特にお金を払ってまで失敗など絶対にしたくないのだ。

私たちはセールストークの中で、「より早く失敗し、より多くの失敗を」という格言を声を大にして提唱していました。これは私たちにとって顔に刻んであるかのごとく強い信念だったのです。私たちがターゲットとしていたクライアントの多くは、大きな組織で失敗を認めない風潮がありました。私たちは真価の分からない新参者であり、既に付き合いのある他のパートナーと比較検討することさえ、クライアントにとっては既に大きなリスクだったのです。このような状況下で、私たちのことを上司に売り込んでくれるはずもありません。販売契約の成約率がこれを物語っていました。

私たちもそこから学習し、軌道修正を行いました。セールストークで新たな言い回しをテストしてみたのです。言い回しを変えて検証を行った最後の最後に、ようやく「リスク軽減」に近い表現にたどり着きました。確かにリスク軽減はどのバイヤーも望むものではありますが、ベンダーにとっては、これは魅力的なセールスポイントではありません。最近私が使うようになった表現は、失敗から生まれるものを表す言葉です。そう、学習です。「より早く失敗し、より多くの失敗を」と言う代わりに、今は「より早く学習し、より多くの学びを」と言っています。このビジョンは、クライアントに商品の取り得る方向性を限りなくたくさん検討してもらい、早くたくさん学ぶことによって最も成功率の高い決断ができるよう手助けするというものです。出荷までには一定のコストがかかりますが、出荷されたものは市場における最大のチャンスをモノにできることを保証します。

セールストークは変わりましたが、私たちがやる事や、それによって得られる成果は変わっていません。私たちは、実験、顧客開発、MVPを掲げ、成果として、検証による学び、的確な方向性の調整、より良い商品とデザインを提供しています。これこそが、クライアントが本当にお金を出す価値があると考えるものなのです。