mana.boのKPI 2.5倍に隠された深津氏、彌野氏の戦略デザインとマーケティング

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我々は全くの素人だった。そんな我らを受け入れ、いろんな方法を教えてくれたのは感謝している。だがそれ以上でもそれ以下でもない。

とあるアクセラレーションプログラムに参加したスタートアップの知人の話だ。

今や数多くのアクセラレーションプログラムがあるが、そのどれもが必ずしも有用なメンタリングを用意できているとは限らないだろう。そんな中、HEART CATCH 2015というプログラムでのメンタリングでは素晴らしい結果を出していたのでシェアしたい。

HEART CATCH 2015 は、よくあるメンタリングプログラムだ。メンタリングを受けたいスタートアップを募集し、選考を行い、選ばれたスタートアップに期間限定でメンタリングを行うというものだ。変わった点といえば、メンタリング期間がやや短め(2ヶ月)で、「デザイン」と「マーケティング」といったテーマを絞ったメンタリングを行う点だ。

そのDemoDayで発表していたスタートアップの1つ「mana.bo」は学生がチューターと呼ばれる家庭教師にリアルタイムに質疑ができるアプリで、利用には月額課金が必要というもの。
そこにメンターとして付いていたのはTHE GUILDの深津氏(左)と、Bloom & Co.の彌野氏(右)だ。

そもそも何を幸せにするんだっけ?

デザインのパートとは2つある。1つ目は、このプロダクトはそもそも何なのか、誰のどういうところを幸せにするのか、を定める部分。2つ目は、定めたものを現実的に作る部分。 — 深津貴之

深津氏が今回注力していたのは中でも1つ目の方で、より根幹の部分だ。というのも、理念としてのmana.boの在り方、mana.boが約束してる事、プロダクトとしてのmana.bo、以上の3点にズレが生じていたそうで、ステージにあわせて必要なデザインメンタリングを行ったということだろう。実際に行ったと思われるステップをまとめると以下の通り。

  • そもそもなんだっけ?という話をチームでブレスト
    — このプロダクトはそもそも何なのか
    — カスタマージャーニーマップ
    — 誰のどういうところを幸せにするのか
  • プロダクトのあるべき姿を定義
  • できる事(できてる事)や施策・打ち手を整理
    — 余計なものは捨てる
    — ずれてる物は方向修正する
    — 穴があいてる部分はロジックを考える

そもそも話を持ち出されるチーム側からすると「自分らも考えてないわけじゃないんだけど」となりそうだが、明確に「ズレてる」と指摘されているので納得感を持ちつつ進められたのではないだろうか。

「そもそも話」はターゲットや強みを設計するフェーズで、それらはマーケティングとも深く関わってくる。

必然性をもって、グロースするという事

マーケティングっていうと、広告とかプロモーションの話だと思う人が多いが、究極的には広告や販促を不要にすること、自走するということだ。 — 彌野泰弘

彌野氏の語るマーケティングも、より本質的な部分を強調した。特に「自走するプロダクトを作る」という考えにまとまるらしいが、それは「プロダクトの強みは何か」を理解した上で「誰に向かってどういうバリューを謳うか」さらに「必然性をもってこのサービスがグロースするのはどういうことなのか」ということをデザインすることだ。つまりデザインとマーケティングは一心同体で、両者が最初から最後まで伴走するのが、とても重要という。

mana.boのケースでは課金につながるキーファクターが、これまでの運用経験から「初回質問」だという事を分析できていた。ユーザーがプロダクトを使い始め、最初の質問をし定着するまでの一本のラインに、抜け漏れが無い様にし、それがデザインサイド、マーケサイドどちらから見ても矛盾なく必然性がある様に組み立てるのだと言う。

KPI 2.5倍の成長へ

このスライドだけを見ると、UI変えたら2.5倍になったよ!と見えるかもしれないが、本質は「誰の何を幸せにするか」を定義できたからこそ2.5倍にできたのだろう。ここが深津氏の語った2つ目の方だと思う。

リサーチによってターゲットユーザーが明確になり、そのターゲットに対し初回質問にフォーカスした結果、トライアルでの質問率は25% → 64%にする事に成功し、実に2.5倍の成長を見せている。

見た目を大幅に変更したわけではない。初回質問にフォーカスした結果、フローや画面遷移が見直されたのだ。ABテストでUIを変えるのとはスタート地点が異なる。

継続的なアウトプット

「プロダクトが改善しただけでなく、チームとしても進化した」

mana.boの角田氏が最後に語った言葉が印象深い。今回のメンタリングの全てを語っている。メンターが入りプロダクトがよくなっても、その後改善を続けるのはチームだ。チームが進化しなければ継続的なアウトプットは良くならないだろう。
この言葉が自然と出てきたところに感動さえ覚えたので文として残しておきたいと思う。

参考

mana.boデザイナーが振り返る>ベンチャーが陥りがちなオレオレUXとそれを防ぐ方法について