デザインとは「問題解決」だけではない

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デザインは問題を特定し、それを解決することの価値も保証する。表面的な解決だけではなく、そのプロダクトの根底に入り込み、人との深い結びつきを作ることができるのだ。

19世紀から20世紀、産業分野や情報分野のビジネスは、科学的管理法とエンジニアリングにおける典型的な分析アプローチが主流になっていた。こうしたアプローチは、現代の企業が直面しているような複雑な問題を解決するには何かが足りない。しかし、以下に示す理由により、デザインへの投資が大幅に増えるように変わってきたのだ。

  • 効率を良くしようと突き詰めることが自然な流れを経て、デザインの本質は新しいビジネス価値を実現する手段と見なされるようになった。
  • ソフトウェアは、まさにその性質上、複雑になる。ネットワーク化されたソフトウェアなら、一層複雑だ。その複雑さをデザインによって何とかしようと考えるようになった。
  • 製品からサービスへのシフトでは選択の操作などのタッチポイントが非常に多く、これをユーザーが使いやすいよう調整するために、デザインに力が入れられるようになった。

こうした課題から、デザインに対し企業が積極的に時間やお金を費やすようになった理由は見えてくるが、そうした既知の問題だけに着目していると、デザインが企業に対し及ぼし得る潜在的な影響を限定してしまうことになる。デザインはよく「問題解決」と結び付けて考えられるが、皮肉にも、この考え方はデザインによって解決しようとしている課題を生み出した還元主義と同じ考え方なのだ。

問題解決はデザインという氷山の一角でしかない。目には映らない海面下では、デザインはプロブレムフレーミング(問題の特定)のための強力なツールであり、取り組みにはその価値があることを保証できる。もっと深いところに行けば、デザインが中核を担うような場合には、デザインがその仕事にヒューマニズムを吹き込むことが分かる。最高のデザインによる製品とサービスは、単に問題を解決するだけではない。人との深い結び付きを作ることができる。デザインが人類学や社会学といった社会科学、その他、文学といったクリエイティブな分野と組み合わされると、人間の経験を強力に表現できる可能性があるのだ。Steve Jobsも次のように言っている

製品やサービスといった人間の創造物は、結局は外側に重ねられた層で表現されるが、そうしたものの根底にある魂こそがデザインなのだ。 — スティーブ・ジョブズ