デザインとはエンジニアリングである

Source
Design is not Art (2013-09-01)

SAP Dublin UXデザイナー

デザインがあらゆる形で人々の生活への影響力を大きくするにつれ、ある混乱が生まれた。「デザインはアートの1つの形態である」という混乱だ。

しかし、実際にはデザインとアートは全くの別物である。


どちらも椅子であるが、片方はアーティストによって作られ、もう片方はデザイナーによって作られたものだ

アートは問題を見つける

歴史の中で、たくさんの形態のアートが問題視され、特定のグループから非難を受ける事件はたくさんあった。アート作品は常に誰かにとって問題であるのだ。

モダンアートは伝統主義者から非難され、伝統芸術はニューエイジの思想家から非難される。ペインティングは誰かを非難しているからと破壊される。アーティストは表現内容によって殺されてきた。


Banksyの問題作の1つ

デザインは問題を解決する

プロセスとしてのデザインは、状況、問題を観察し、適切な方法で解決する。デザインは生活の中で物事のスピードを上げ、ユーザーとゴールとの間の摩擦を除去する。シートベルトやエアーバッグのように、デザインが生活を安全にしてきたのだ。デザインが我々に暖かくて豊かな生活を与えてくれる。

アートは解釈

アートを鑑賞したり扱ったりするとき、アーティストが何を意図しているかの判断は人によって異なる。作品の意味は人によって異なるのが一般的だ。アートは思考と観察を鑑賞者に求めることになる。

デザインは合意

デザインのユーザーはその意味に関して同じ答えに辿り着かなければいけない。異なるユーザー間で矛盾は存在してはいけない。デザインはほぼ思考を要求しないし、最初から感覚的に使えなければいけない。

アートは探求

素晴らしいアート作品や新しいアートの時代は探求の結果生まれる。アーティストは特定のテーマを繰り返す時期があるが、アートの基本は新しいテーマ、技術、媒体の探求である。

デザインは観察と繰り返し

一方でデザインは観察し得たものを利用する。例えば、webデザインでの観察によって、人は本物のボタンに見える方をクリックしやすいことが分かったら、デザイナーはその知識を活用してボタンを作る。デザインの進化はほとんどが過去のデザインをもとに何度も修正して作られたものだ。

アートにはゴールがない

委託されたものを覗き、アートには明確なゴールがない。アーティストは鑑賞されること以外を目的に魂の表現として作品を作ることはない。


アイコニックな「Juicy Salif」はアートであって、デザインではない

デザインには明確なゴールがある

デザインはゴールがあり、作品は明確なゴールを目指して修正され作られる。デザインはデザイナーの目的のために作られることはない。デザイナーのために作られたデザインは無意味であり、アートとなってしまう。

アイコニックなJuicy Salifというジューススクイーザーはデザインではない。ジュースを絞ることはできるが、非実用的で非効率的な要素が多すぎる。種がグラスの中に落ちていくような構造をもつスクイーザーはアートであって、デザインではない。

アートはアーティストにとって創作

アーティストは基本的には自分のために作品を作る。感情を表現し、他者に感覚を与えるために作る。アーティストから委託されて作られる作品もあるが、そのような場合でもアーティストは感覚や思考に深く辿りつくために制作する。

デザインはエンドユーザーのために作る

デザイナーはエンドユーザーを念頭において作る。デザイナー自身はターゲットになってないことが多く、その作品を使うことさえないかもしれない。つまり、デザイナーは良い作品を作るためには、エゴを捨ててユーザー中心に考えなければいけない。もちろん、全てのデザイナーは個性をもつが、結果よりも個性が優先されることはない。

デザインとはエンジニアリングである

一般的にはアートとデザインには微妙な違いしかないと思われているが、実際にはとてつもなく広く大きなギャップがある。これはアーティストの生活とデザイナーの生活の違いからでも見て取れる。デザイナーは機能的なキッチンを持ち、使いやすいものをもち、生活をシンプルにする。アーティストは混沌と偶然を愛する。

デザイナーは機能に従い、アーティストは形態に従うのだ。


©Mike Rohde

しかし、デザインにもアーティスティックな所がある。ビジュアルデザインワークの手法はアートだ。ほとんどの人はこのデザインの外側のレイヤーだけを見て、アートと考えてしまうことが多い。

webワイトのワイヤーフレームのスケッチはアートに見える。それはアーティストの傑作のスケッチとそれほど変わらないように思える。

バックグラウンド、リサーチ、経験と同じように、デザイナーのメンタルのプロセスも我々には見えにくいだけであり、デザインの手法とはエンジニアリングのようなものなのだ。