環境からデザインを逆算する — コンテキストを理解する(3)

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デジタルプロダクトデザイナー/リーダー
Twitterデザインマネージャー
Clearleftエクスペリエンスデザイナー

テクノロジーの進化に伴い、インターネットユーザーを取り巻くコンテキストも変化し、明確に定義することは難しくなってきた。現代のデスクトップ/モバイル・コンテキストの落とし穴から、コンテキストを正しく理解するための切り口について考える。(連載第3回)

連載「コンテキストを理解する」
第1回: コンテキストの落とし穴
第2回: デバイスの多様化によって必要となる視点
第3回: 環境からデザインを逆算する
第4回: 時間軸の中で必要とされるものとは?
第5回: 受動的か能動的かを意識して体験を考える
第6回: 個別最適に、パーソナルスペースを考慮しているか?
第7回: 場所情報を用いるリスク
第8回: ユーザーの周りにも人がいることを意識する
最終回: コンテキスト・デザインの5原則

コンテキストをデザインに落とし込む7つの切り口

リサーチをすれば、単なるコンテキスト以上の洞察が得られる。プロダクト戦略を練る時、サポートするデバイスを選ぶ時、コミュニケーションの手段を企画する時など、いかにリサーチが大切かが分かるはずだ。

しかしせっかく見つけた様々な種類のコンテキスト上の情報や発見は、どのようにデザインに繋げば良いだろうか。当然ながら、コンテキストをいかに分類しても近似値でしかない。カテゴリは溶け合わざるを得ないからだ。しかし次に示すコンテキストの7つの「切り口」が重要な面を網羅しているので、コンテキストの重要性を自信を持って説明できるはずだ。

切り口-1: デバイス
切り口-2: 環境
切り口-3: 時間
切り口-4: 行動
切り口-5: 個性
切り口-6: 場所
切り口-7: ソーシャル

本記事では7つの切り口のうちの1つ、「環境」について取り扱う

切り口-2: 環境

インタラクションを取り巻く物理的な環境とコンテキストは、互いに関連しあっている。

屋外の環境は天候により大きく左右され、屋内の環境よりも多様になっている。手が冷たくなってしまう様な環境であれば、最小限の入力で大きなコントロールを可能にすることで、手を思いやることができる。タッチスクリーンユーザなら、手袋を外さなくてはいけないかもしれない。光沢のあるスクリーンならば、太陽光のまぶしさや雨によりコントラストが低減するため、ユーザは色を知覚しづらくなってしまう。それらを考慮し、コントラストと読みやすさを最適にするために、色や書体、フォントサイズを調整する。(これは、アクセシビリティの観点からもお勧めする。Webコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン参照)

気象条件はユーザの目標にさえも影響する。例えば雪の日なら、ゴルファーはゴルフ場のコースを回ろうとはせず、屋内の練習施設を探すだろう。

騒音の大きな環境では、ユーザは集中力を阻害される。その様な環境で使われるアプリでは、画面遷移のたびに情報を覚えておかなくてもいいように、視覚的に分かりやすい、強弱のある配色にするかもしれない。それとは逆に、静かな、あるいは暗い環境ならば、アプリからの音や光による妨害を極力減らす様にするだろう。なるべく音を鳴らさないようにし、映画館やオペラハウスで邪魔にならない様な暗い配色にする。わずかな違いでも、あなたがユーザのことを最優先に考えたということを証明するものだ。

ユーザがタスクを完了するために必要な情報が、環境には含まれていることがある。ファミリー用のPCなら、パスワードが書かれた付箋が画面の周りにいっぱい貼られているかもしれない。オフィスで事務作業している人なら印刷された価格表を見ているかもしれない。ユーザがどんな環境に置かれ、その環境でどんな情報を欲しがっているのか考えよう。そして、そうした情報が得られなかった場合にどんなことが起こるか、ということまで考えるのだ。

環境のコンテキストについて想像を膨らませ、光センサや温度センサについて大胆な予測を立てるのは楽しい。しかし、実際ユーザはほとんどの環境要因には勝手に適応するものだ。例えば、スクリーンに当たる太陽光が邪魔ならそれを遮り、静かな環境にいるならデバイスの音をミュートにする。システムが動的に環境に対しあまりにも敏感に反応しすぎると、そうしたシステムは面倒くさく捉えられてしまう。システムが適応する環境が明確でない限り、ユーザには不安感を与えてしまうだろう。全ての環境問題を解決しようとするのではなく、控えめであくまで自然な素振りをみせる様にするのだ。

環境コンテキストを理解するポイント

  • 利用シーンは屋内か屋外か
  • 気象条件がデザインに影響するか
  • 周辺環境の情報源でインタラクションに関連するものがあるか
  • ユーザは自分のシステムが環境に適応する理由と仕組みを理解しているか
  • 自分のプロダクトが置かれる環境で自然なものに感じられるにはどうしたらよいか

第4回: 時間軸の中で必要とされるものとは? へ続く