時間軸の中で必要とされるものとは? — コンテキストを理解する(4)

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デジタルプロダクトデザイナー/リーダー
Twitterデザインマネージャー
Clearleftエクスペリエンスデザイナー

テクノロジーの進化に伴い、インターネットユーザーを取り巻くコンテキストも変化し、明確に定義することは難しくなってきた。現代のデスクトップ/モバイル・コンテキストの落とし穴から、コンテキストを正しく理解するための切り口について考える。(連載第4回)

連載「コンテキストを理解する」
第1回: コンテキストの落とし穴
第2回: デバイスの多様化によって必要となる視点
第3回: 環境からデザインを逆算する
第4回: 時間軸の中で必要とされるものとは?
第5回: 受動的か能動的かを意識して体験を考える
第6回: 個別最適に、パーソナルスペースを考慮しているか?
第7回: 場所情報を用いるリスク
第8回: ユーザーの周りにも人がいることを意識する
最終回: コンテキスト・デザインの5原則

コンテキストをデザインに落とし込む7つの切り口

リサーチをすれば、単なるコンテキスト以上の洞察が得られる。プロダクト戦略を練る時、サポートするデバイスを選ぶ時、コミュニケーションの手段を企画する時など、いかにリサーチが大切かが分かるはずだ。

しかしせっかく見つけた様々な種類のコンテキスト上の情報や発見は、どのようにデザインに繋げば良いだろうか。当然ながら、コンテキストをいかに分類しても近似値でしかない。カテゴリは溶け合わざるを得ないからだ。しかし次に示すコンテキストの7つの「切り口」が重要な面を網羅しているので、コンテキストの重要性を自信を持って説明できるはずだ。

切り口-1: デバイス
切り口-2: 環境
切り口-3: 時間
切り口-4: 行動
切り口-5: 個性
切り口-6: 場所
切り口-7: ソーシャル

本記事では7つの切り口のうちの1つ、「時間」について取り扱う

切り口-3: 時間

デバイスが使われる時間帯は、ユーザーのいる環境、場所、行動に依存していることが多い。統計データにも、デバイスはそのクラスごとに使用されるパターンが異なっていることが表れている。タブレットは仕事などが終わって娯楽の時間が持てる夜に使用することが多く、デスクトップコンピュータはオフィスでの勤務時間中に多くなっている。一方、スマートフォンは休憩時間中(通勤時間、など)の他、勤務時間中にも、特に会社から管理されている範囲から外れた時に、個人的に使うといったケースが多いことが分かる。

Relative hourly traffic to news sites per device class. (Data from ComScore.)
ニュースカテゴリへの各デバイスからのトラフィック・シェア(平日)
各デバイスからのニュースサイトへのアクセス量と時間の関係(出典:COMSCORE

現在時刻を表示するのは簡単だが、1990年代以降、JavaScriptを使った無闇な時計表示はWebサイトを見にくくしてきた。しかし、時間データはアプリケーションの機能を向上させるために使われるなら、パワフルに機能する。ニュースサービスなら最新のコンテンツを表示させることができるし、時刻表アプリなら次の電車の情報を表示することができる。ホテルのWebサイトなら、当日宿泊可能な空室を割引して宣伝することもできるのだ。公開されているものの中には、「夜間モード」で動作するものもある。夜になったことを検知するためにユーザーの現在地や日没のデータを使い、それに応じて暗いスタイルシートを適用する。実用的なものではないにしても、かわいらしいイメージなども可能だ。

また、ユーザーがあなたのプロダクトを利用できるようになる時間をよく知っておくと役に立つ。データによれば、モバイルユーザーはスマホを細めにいじり、一度に長い時間使うわけではないようだ。大量のデータを扱うアプリは、タスクをより小さなサブタスクに分けることと、全体の情報ではなく2、3の明確な結果を示すことにより、この動作に必要なものを提供することができる(この「再現率・適合率」のトレードオフ関係は、ライブラリサイエンスと情報アーキテクチャでは昔から存在する問題だ)。ファイル操作や詳細検索といった複雑な処理には、ユーザーに長い間待たせるものもある。それが適切であるのなら、タスクが複雑なものに対しては、完了までの残り時間か、あるいは進行状況のステータス(例えば「12個中3個目のステップを実施中」など)を追加するといい。

時間コンテキストを理解するポイント

  • 1日のうち、私たちのアプリが使われる最適の時間はあるか
  • そのとき他に何が起こっているか
  • ユーザーは私たちのサイトにどのくらい滞在するか
  • どのくらいの頻度か
  • 私たちのデザインはどのようにこうした使用パターンに適合するか

第5回: 受動的か能動的かを意識して体験を考える へ続く