ユーザーの周りにも人がいることを意識する — コンテキストを理解する(8)

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デジタルプロダクトデザイナー/リーダー
Twitterデザインマネージャー
Clearleftエクスペリエンスデザイナー

テクノロジーの進化に伴い、インターネットユーザーを取り巻くコンテキストも変化し、明確に定義することは難しくなってきた。現代のデスクトップ/モバイル・コンテキストの落とし穴から、コンテキストを正しく理解するための切り口について考える。(連載第8回)

連載「コンテキストを理解する」
第1回: コンテキストの落とし穴
第2回: デバイスの多様化によって必要となる視点
第3回: 環境からデザインを逆算する
第4回: 時間軸の中で必要とされるものとは?
第5回: 受動的か能動的かを意識して体験を考える
第6回: 個別最適に、パーソナルスペースを考慮しているか?
第7回: 場所情報を用いるリスク
第8回: ユーザーの周りにも人がいることを意識する
最終回: コンテキスト・デザインの5原則

コンテキストをデザインに落とし込む7つの切り口

リサーチをすれば、単なるコンテキスト以上の洞察が得られる。プロダクト戦略を練る時、サポートするデバイスを選ぶ時、コミュニケーションの手段を企画する時など、いかにリサーチが大切かが分かるはずだ。

しかしせっかく見つけた様々な種類のコンテキスト上の情報や発見は、どのようにデザインに繋げば良いだろうか。当然ながら、コンテキストをいかに分類しても近似値でしかない。カテゴリは溶け合わざるを得ないからだ。しかし次に示すコンテキストの7つの「切り口」が重要な面を網羅しているので、コンテキストの重要性を自信を持って説明できるはずだ。

切り口-1: デバイス
切り口-2: 環境
切り口-3: 時間
切り口-4: 行動
切り口-5: 個性
切り口-6: 場所
切り口-7: ソーシャル

本記事では7つの切り口のうちの1つ、「ソーシャル」について取り扱う

切り口-7: ソーシャル

ソーシャルコンテキストを簡単に表現するなら、「ユーザーの近くに、他に誰がいるか」ということだ。ユーザーは、ソーシャルコンテキストが今やっていることに適当であるのかをそれぞれで判断する。これはほとんど無意識のまま下している決断である。

ユーザーと直接話すか、アプリをユーザーに試してもらわない限り、プライバシーに関する懸念や、人々が適合性の判断を下す基準は分かりようがない。

行為によってはプライバシーが必要なものもあるが、多くが基本的には人とのつながりを求めるものだ。このような場合には、信頼できる友人の存在が理想的なコンテキストだ。Webは単独で動いているように思ってしまう人がいるが、新しいアウトプットやコンテキストが、1つのデバイス上でも2人以上のユーザーに適した新しいアプリケーションを作り出せる。ユーザーが1人でもそうでなくても、多くのインタラクションはソーシャルの要因に大きな影響を受ける。ソーシャルのシステムというのは、リアルタイムでもそうでなくても、人々が伝達し共有する場合、単純で効率の良い方法である必要がある。バックグラウンドにデータや状態を保存し、1つのサイトを提供すれば、ユーザーたちが他人と関わることが容易になる。

チャットや写真共有などのプロダクトは、分かりやすくソーシャルの側面があるが、他のほとんど全てのものがソーシャルコンテキストに関わっていることが分かる。例えば、飛行機の予約をする時には、検索結果を比べて、その結果を配偶者か上司に許可をもらうために送る。

SNSは、選択を促し、ユーザーエクスペリエンスを改善する最高のツールになりうる。しかし、何度も言うようだが、この力には責任が伴う。もしあなたが作成したアプリがユーザーに、SNSに(例えばログインをする)権限を要求する場合、ユーザーに信頼されなくてはならない。アプリが正常に機能しないとなると、強い反感を持たれることになるだろう。権限は必要なだけの最低限のレベルを要求し、明確な許可なしでユーザーのソーシャル・ネットワークに勝手に投稿などしないようにしよう。

最後に、デバイスの共有について考えよう。デスクトップPCやタブレットは、家族の中で共有して使っている場合が多い。また、電話を家族の中や、近所の人とさえ共有して使うのが一般的になっている国もある。個人のデバイスにはプライベートなデータが入っているので、ユーザーはOSレベルで、パスワードやPINロックなどでセキュリティを確保していることが多い。これにより、Webブラウザ上でのセキュリティを怠ってしまうユーザーがいる。デバイスは表向きにはOSレベルでセキュリティを確保しているので、ユーザーは使い終わったあとにシステムをログアウトする意味を理解していないかもしれない。

しかし、デバイスを共有して使っているユーザーたちは、あなたのサイトにずっとログインしている状態に抵抗を示し、もし機能があれば、プレイベートブラウジングを使用することもある。ユーザーの使用履歴、すなわち検索履歴やページ履歴、閲覧履歴などの情報を公開するかどうかは慎重に考えるべきだ。もし、共有されているデバイスからの訪問者が多く存在すると想定できるのであれば、ユーザーの切り替えを簡単にできる機能を提供したほうがいいだろう。

ソーシャルコンテキストを理解するポイント

  • アプリは、一人でプライベートなコンテキストで使われるのか、それとも多くの人が使うのか
  • ユーザーが人前で恥をかいたり、不愉快な思いをしたりするリスクを減らす方法はあるか
  • エンドユーザーの他に、その行為に関わる人はいるか
  • アプリが、ユーザーのソーシャル・ネットワークにアクセスする権限を要求するメリットはあるか
  • アプリ上のユーザーの大事な情報は、十分に守られているか

最終回: コンテキスト・デザインの5原則 へ続く