デジタルはアナログを目指す — スタートアップから考える

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あるデザイナーの言葉をよく思い出す。

デジタルはアナログを目指す。

最新の印刷技術を駆使したポスター制作について語っていた言葉だ。そのデザイナーは、手描きのようなテクスチャーを、デジタル技術で表現しようとしていたらしい。

Siriが人間との自然な会話に近づいているように、たしかにデジタルはアナログを目指すように感じる。そして、今年のY CombinatorのDemo Dayに登壇したスタートアップのサービスにおいても、同じことを感じた。最新の技術による効率的で便利なサービスは、実はアナログな体験をユーザーに与えようとしているのではないか?と。いくつか例をご紹介したい。

アナログを目指すスタートアップ

1. shypmate


shypmate

アメリカのオンラインストアの商品を、配送対象外のガーナやナイジェリアにいる人々が購入できるECサービス。商品ページのリンクを貼り付けると、5-10日以内に配送先へ旅行する人が代わりに商品を運び、空港で商品を受け取れることができる。最終的に旅人と空港で出会うという点が面白く、気が合えば観光ガイドとかにもつながるのかもしれない。

2. StrongIntro


StrongIntro

自社社員の知り合いを採用するためのサポートサービス。社員のFacebook、LinkedinなどのSNSを通じて候補者をリストアップし、採用までのプロセスを管理するサービスを提供する。会社にプライベートの交友関係をオープンにするというのは大胆だが、仲間の知り合いが自分の仲間になっていくのは盛り上がりそうだ。

3. willing


willing

自分の遺言を簡単に作成できるオンラインプラットフォーム。遺産相続人などを設定し、アメリカで法律的に有効な遺言を残すことができる。スマートフォンで作る最後の最も重要なメッセージになるのかもしれない。

生身のコミュニケーション

それぞれのサービスはデジタル技術で、目的を合理的・効率的に達成できる仕組みになっている。しかし、一方で以下のようなアナログ的な生身のコミュニケーションが実は醍醐味になっているようにも感じられる。

shypmate — 憧れの商品を届けてくれる、未知なる旅行者との出会い。
StrongIntro — 仲間を辿った仲間との出会い。
willing — 死後に家族に伝えるメッセージ。

すっかり日本でも浸透しているAirbnbやUberも同じように、私たちは結局は人との出会い・距離の近いコミュニケーションに魅力を感じて、サービスを使い始めるのではないだろうか?どんなにテクノロジーが進化しても、どんなにデザインが洗練されても、達成したい目的とは別に、我々が欲しいものは結局はフィジカルな体験なのかもしれない。「ドキドキ、ワクワク。」分かりやすく言えばそういうことだ。

これからもきっと、デジタルはアナログを目指していくのだろう。