ゲームアプリに勝敗の要素は必要ない

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Foursquareからチェックイン機能などが独立したアプリ「Swarm」。そのリードデザイナーであるCourtney Christopher氏へインタビューを行い、テレビゲームがアプリに及ぼした影響や、ユーザーに満足感を与えるための要素などについて伺った。

モバイル機器が生活に偏在するものになったように、ゲームに使用される技法も自然とアプリに浸透してきている。DuolingoやFitbit、Runkeeperでは、競争心をくすぐるような機能がつけられている。Foursquareのように完全にゲームに感化されたアプリはまだ多くはないが、最近の例ではSwarmがそのようなアプリを制作している。

SwarmのリードデザイナーであるCourtney Christopher氏にテレビゲームがアプリに及ぼした影響や、ユーザーに満足感を与えるための要素などについて伺った。

Swarmに大きく影響したゲームは何ですか?

私はずっとテレビゲームで遊んでいます。私の一番幼い頃の記憶では、SNES(海外版スーパーファミコン)でスーパーマリオワールドを父と一緒にしたことです。4年頃前にFoursquareに入る機会を与えられた時、ソーシャルユーティリティ(SNSにおいて使用するサービスあるいは機能)にゲームに使用される技法を取り入れたアプリ制作に関われると非常に興奮しました。Swarmを検索や発見ユースケースに拘束されない独立型のアプリにする最近までゲーム的要素には固執していませんでした。

Swarmをデザインする上で刺激になったのは、スーパーマリオ、ゼルダの伝説、スロットマシン、トレーディングカード、そして従来のFoursquareなどのゲームに使用される技法です。

Swarmのコインやリーダーボード(スコアランキング)のデザインはスーパーマリオに影響されています。ステッカーのアンロックやメイヤーシップの取得について話す際によくゼルダの伝説が話題になります。例えば、「チェックインはゼルダの伝説のリンクが財宝箱を開くような感じだよね」といった感じです。

Swarmのステッカーは、カードのように集めることができます。社内では、これを野球カードに例えて話しますが、個人的にはどちらかというとマジックカード(マジック:ザ・ギャザリング)やポケモンカードのようだと思っています。

ゲームの魅力は何ですか?なぜリピータが多いのでしょうか?

それは、レベルアップやスキルアップ、ご褒美の獲得やアイテムの収集など目的に向かって前進する感覚が味わえることだと思います。

Stickers in Swarm
Swarmのステッカー

良い例が、私が何度も遊んだゲーム「World of Warcraft」です。

レベルをクリアできなくても、道具を集めたりパワーアップしたりすれば進歩している気がするからです。

Swarmでは、100種類の集められるステッカーやリーダーボードで毎週遊べるようにしてリポートさせたいと思っています。このアプリには、チェックインでコインをいくつ取得できるか、ステッカーをアンロックできるかなどのヒントを与え、たくさんのサプライズやお楽しみを埋め込んでいます。これらは基本的なチェックインの動作に組み込まれ、おなじみのチェックインを新鮮なものにしています。

ゲームの要素をアプリにどのように応用しましたか?通常のデザインプロセスとは異なりますか?

Foursquareはデータ駆動型の会社です。大規模な機能の導入の前にメトリックの把握や大量の実験、細かい修正、修正の効果の計測を行います。しかし、このSwarmのバージョンはアプリに楽しさを戻すという意味でとても特徴的でした。これまで失った魔法をこのバージョンで復活させたかったのです。それには、数値では表すことのできない、大胆に大きな一歩を踏む必要がありました。例えば、リーダーボード機能で勝利を実感できるように、勝った時にインタラクティブにお祝いできる方法を模索しました。それと同時に楽しく、思い出に残る、ちょっと変わったものがいいと思いました。チームのあるメンバーがタップでピニャータを叩き割ることを提案しました。A/Bテストするほどの機能ではなかったので、イラストを書いて、エンジニアと作ったものが意外と面白いものになりました。タップ1回で割れるようにはせず、何回か叩いてから割れるように、しかも叩くたびにピニャータの表情が変化することをプロジェクトマネージャに提案されました。これもアニメーションに取り入れ、でき上がったものを見たときは笑いが止まりませんでした。

そんな風に自分自身で楽しみながら、笑えるものは成功すると思い、アプリで使用した仕組みはチームで吟味するようにしました。

ゲームのどのような要素がユーザーに満足感を与えているのでしょうか?

私の場合、自分の操作に対して与えられる、視覚的、聴覚的、感覚的フィードバックです。

最近Wii Uで頻繁に「スプラトゥーン」をやっているのですが、非常に楽しめます。友達同士でインクを打ち合う動画だけでなく、インクを打った時の効果音や鮮やかなインクの色、コントローラの振動などのインタラクションが満足感につながります。

Swarmでは、ピニャータを壊すことやチェックイン後に見えるカードから出てくるコイン、メイヤー就任時に聞こえる拍手の効果音、そして集めたコインの合計などでユーザーに満足感を感じてもらえるようにしてます。

Swarmに適用するゲームの要素はどのように決めましたか?

基本的な仕組みは従来Foursquareで使用していたものをベースにしました。しかし、Foursquareはもともと本格的なゲームにするつもりはなく、チェックインとは何かを知ってもらうきっかけにすぎませんでした。しかし、時が経つに連れ、Swarmが友人と連絡を保ったり、新しい友達を作ったりするソーシャルユーティリティアプリとして注目されるようになったため、ゲームの要素を失うようになりました。Swarmの初期のバージョンは技術的かつ実用的ではありましたが、Foursquareが好まれた基本的な楽しさの要素がありませんでした。

ユーザからのフィードバックを基に、Foursquareが好まれた3つの要素、ステッカー(ひとりで遊ぶゲーム)、コイン(友達と遊ぶゲーム)、メーヤーシップ(世界中の人と遊ぶゲーム)を取り入れることを検討しました。そして、単にSwarmを始めてもらうための道具にするのではなく、純粋に楽しい遊びのあるソーシャルゲームとして構築することに決めたのです。

今まで一番面白かったインタラクションゲームは何ですか?

私は負けず嫌いなので、最初にゲームの相手を倒したいと思います。「大乱闘スマッシュブブラザーズ」で相手を倒すのが好きです。ダメージを与れば与えるほど効果音が激しくなっていくのが大好きです。とどめの一撃で相手は飛ばされ、観客の歓声が上がります。さらに、任天堂が新しいゲームに追加した機能、例えば相手をKOすると相手がカメラに衝突しコントローラが振動する機能が最高に好きです。何と言っても気分爽快です。

Super Smash Bros

ゲームをどのように定義しますか?ゲームとアプリの違いと共通点は何ですか?

これについては、Jane McGonigalが著書の『幸せな未来は「ゲーム」が創る』でうまく表現しています。「全てのゲームは4つの定義の特性を共有している。目標、規則、フィードバックシステム、および自発的な参加」です。

興味深いことに、McGonigalはゲームとして成り立つために必ずしも「勝敗」の要素は必要ないと言っているのです。これらの特徴でゲームを定義するとアプリにも当てはまります。そういう意味では、ゲームアプリと他のアプリの違いは、「自発的な参加」という要素だと思います。人はSNSのソーシャルアプリやソーシャルユーティリティを好んで使っているのではないと言っているのではなく、人はゲームアプリに対して異なる期待を持っているということです。Twitterを開く時とは異なる期待がTwo Dotsを開く時にはあります。SwarmやDuolingo、Nike+のようなアプリの場合、はっきりとはしていません。これらをゲームアプリとしてもソーシャルアプリとしても使用することができます。

お気に入りのテレビゲームはなんですか?仕事に反映していますか?

難しい質問ですね。お気に入りはその時々で変化します。まず思い付くのが「ファイナルファンタジー7、8」ですが、センチメンタルな答えにすると、父と最初に遊んだSNESの「スーパーマリオワールド」です。残念ながら、テレビゲームをして育ったという女性を多くは知りませんが、ゲームは幼いころからの私の趣味でしたし、私のデザインや仕事を特徴付けていると思います。


Swarmのアプリに適用したゲーム技法とデザインプロセスを説明してくれたCourtney Christopher氏に感謝する。