「実用的」なデジタルプロダクトを作る4つの注意点

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グッドデザインは実用的である
人は製品を使うために買う。その製品は機能面だけでなく、心理的、美的な面においても、一定の基準を満たしていなければならない。グッド・デザインとは、不要なものを可能な限り削ぎ落とし、実用性を最も重視したものだ。 — Dieter Rams氏「グッドデザインの10の原則」

これがプロダクトデザイナーの信念だ。

しかし、デジタルプロダクトになると、実用的、美的、心理的な面の境界が不可分に曖昧になる。身体的な制約や拠りどころとなる形がなくなり、すべての細かな制約やアフォーダンスが意図的に見えなければいけなくなってしまうのだ。

デザイナーの介在がなかったとしても、物質的なプロダクトは機能を体現する形をもっている。ハンマー、車輪、ボタンはそれぞれの形から機能が明らかだ。

しかし、ソフトウェアにおいては、ものごとは抽象的になる。コードは固有の形をもたないし、意図的にデザインされないと、デジタルプロダクトは完全に暗号のようなものだ。QuickBooksのコードの1と0の羅列は、Facebookのコードのそれと同じように見えてしまう。これらのプロダクトを機能させるための制約、アフォーダンス、視覚的要素を吹き込むのはデザイナーの仕事なのだ。


Automaticのデザインは複雑な情報をわかりやすく、使いやすいものにしている。

デザインが後から付け加えられたかどうかはすぐ分かってしまう。エンジニアの最初のアプローチの痕跡はどこにでも見られる。不可解なインターフェース、入り組んだワークフロー、巨大なユーザーガイド。これらは最初の数世代のパソコンには主要なアプローチであり、ユーザーよりも製作者向けに作られたということがソフトの形として見えてくるのだ。

では、どうやってデジタルプロダクトを実用的にできるのか?

  1. 求められる仕事をする。
    Webサイトを通じて効率的に考えを届ける、もしくはアプリを通じてインタラクションのためのモバイルプラットフォームをつくる場合でも、ユーザーの目的をスムーズに叶えなければいけない。目的が明らかで、かつインタラクションは実用的のみならず快適になるようにデザインされてなければいけない。

  2. 認識の差異を減らす。
    プロダクトの機能がユーザーが思っているものと違うとき、認識の差異を作ったということになる。プロダクトの外観が機能を補強し、ユーザーが何をできるかを明らかにしなくてはいけない。

  3. 求められるアフォーダンスと制約をつくる。
    プロダクトが美的要素により、ユーザーをスムーズなインタラクションへと導かなくてはいけない。ボタンはクリックされるように見えなければいけないし、インプットはインプットであるように見えなければいけないし、文字も極力少なくして情報を伝えなければいけない。例えば、赤色がネガティブな印象を与え、青色がポジティブな印象を与えるように、私たちはユーザーの身体的な先入観を生かして情報を流さなければいけないのだ。

  4. 不必要な要素を除く。
    見慣れているからといって、退化した要素をデザインに使ってしまいがちだ。スキュアモーフィックデザインや不必要な設定のトグルなど、ユーザーの10%しか使わないような特徴はすべて共通の例だ。デジタルデザインとは真っ白な石版のようであり、すべての要素が慎重に追加されていかなければいけない。

デジタルプロダクトはその曖昧な性質によって、他のどの媒体よりも実用性がはっきりと美的面や心理面につながっている。インタラクションとエクスペリエンスが可能な媒体を使って仕事ができるのはわれわれの特権だが、責任感も重くのしかかってくるのだ。些細なデザインの変化が何百万人ものユーザーエクスペリエンスに影響し、快適さと使いにくさの境界線はとても狭くなっている。

身体的な制約にしばられることなく、われわれは思いつきのアイデアからプロダクトをつくることができる。ぜひ美しく、実用的で、よく考え込まれた、役に立つプロダクトを作ろう。


この記事はシリーズ「グッドデザインの10の原則: デジタルプロダクトへの展開」(全10回)のPt.2です。
Pt.1, Pt.2, Pt.3, Pt.4, Pt.5, Pt.6, Pt.7, Pt.8, Pt.9

「グッドデザインの10の原則」はDieter Rams氏と長年の連携をもつVitsœのWebサイトで発表された。原則はクリエイティブコモンズラインセンスのもと、ここで見ることができる。