UX戦略なんてものは、ない

Source

2013年はUX戦略に関連した議論が多く見られました。UX戦略に関するカンファレンスが行われたり、多数の記事で取り扱われました。しかしそれら一連の流れがあるとしても、UX戦略が存在しているという事にはならないでしょう。

現実的には、UX戦略というものは存在せず、そこにあるのは製品戦略です

製品を提供している企業であれば、それぞれ個別の製品戦略があります。そうした企業は全体のビジネスゴールや製品ラインナップについても、個別の製品戦略と同じぐらい戦略を練ることが可能かつ必要とされるでしょう。私たちは製品の新規構想についてクライアントと仕事をする時、まずクライアントに全体の製品戦略を考えてもらうところから始めます。それは、次のようなものです。

  • その製品は、誰のために作っているのか
  • ユーザの、どんな問題を解決するのか
  • その解決法は?
  • 新規のユーザを、どのように引きつけるのか
  • どのようにユーザを維持するのか
  • どのように利益を出すのか
  • 競合相手は誰か
  • 競合相手と比較して、あなたの製品はどのように違う/優れているのか
  • あなたの製品はどう見えるのか、どう動くのか

これら質問はすべて、会社が新しい方向へ進もうとする際に複合的に検討する必要があります。もちろん、経験豊かなUXの専門家なら分かるように、これら全ての質問の答えには、UXデザインの要素があります。

しかし、UX戦略を明確に実践しようとすると、より広い戦略的視点ではUX戦略はまだ十分に検討されていないような勘違いをするでしょう。みなさんは、きっとこう言うと思います「それこそが正に私たちがUX戦略を実践し、しっかり議論することが必要な理由です」と。

とあるTweetの引用:

企業は、数ある成功の秘訣の一つがUXだと信じなくてはならない。

異なる視点から見てみましょう。もしUX戦略が効果的なのであれば、企業はUXが数ある成功の秘訣の一つだと信じなくてはならないし、それを製品戦略の議論の延長線上に含めなくてはいけません。

デザインが取り沙汰されるようになり、多くの企業がAppleに続く何かになりたいと思っていますが、デザインやUXをそのレベルの品質と洗練、内部への影響にまで至らせる意味を、時間をかけて考えてきた企業はごくわずかです。もしも組織が、全体的な戦略の一部としてUXデザインを導入するために必要な時間と費用を投資するのに足りるほどデザイン思考を成熟させていないのなら、どれだけ内部のロビー活動や役員、新しい肩書、仕事の説明、会議があっても、その事実を変えることはできないでしょう。

UX戦略とは製品戦略の一部であり、単独で成り立つものではありません。デザイナーがUX戦略を単独で実行しようとすれば、デザイナーは「ビジネス」的観点でチームから孤立してしまいますし、組織として実現したいUXの価値を生み出せないでしょう。そうではなくて、デザイナーはUXだけでなく、ビジネスや製品の成功要素も踏まえた製品戦略の土俵で提案できるとよいでしょう。