広告としてのステッカーアートの力

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99designsコミュニティーチームメンバー

ステッカーの最も素晴らしい点は、そのシンプルなグラフィックがいかに社会の潜在意識に入り込み、次世代のトレンドの一部になるかという点だ。
-DB Burkman氏, (共著: Monica LoCascio氏)『Stickers: Stuck Up Piece of Crap – From Punk Rock to Contemporary Art』

ステッカーはじわじわとポップカルチャーに根付いた。その粘着力のように、はがそうとすると透明な跡が残り、ステッカーアートはカルチャーの様々な垣根を超えて痕跡を残してきた。

生活にあまりにも馴染んでいて、その詳細な歴史を調べることは難しい。しかし、シンプルで効果のある「ブランディング」のツールとして使われ始めたということは間違い無いだろう。

ロゴの裏に糊をつけて、どこにでも貼り付けられる。それがほとんどの新しいステッカーカルチャーの由来であり、既存のロゴを利用した社会的主張である。

さらに、誰でも自己表現をするための身近な手段として、アートの手法にも入り込んできた。

ストリートカルチャーとの衝突

ステッカーアートは一気に広がったが、ストリートアートの一部としては批判を受けることが多い。グラフィティアーティストの中には、ステッカーは自分のマークをつけるには簡単過ぎると主張する人もいれば、ステッカーを利用して富と名声を得る人もいる。一時的な効果を狙って家で簡単に印刷するか、長期間効果を保つ耐久性のビニールを使うかということだ。

最も有名なステッカーアートの1つはShepherd Fairey氏によるアンドレ・ザ・ジャイアントを描いたものだ。今では国際的に知られているが、彼は90年代初頭に「OBEY」のグラフィックステッカーで名を知られるようになった。

Fairey氏はエッセイ『STICKER ART』(オリジナルはGraphotism Magazine出版)で、ステッカーが彼のキャリアを築く上での重要性を書いている。

しかし、彼一人がステッカーを使いはじめたというわけではない。有名な例は「Hello, my name is」ステッカーや、アメリカの郵便ラベルをタグ付けのために安価なキャンバス代わりに使ったものだ。

ブランドと組み合わせてステッカーアートが始まったため、アーティストにとっては社会批評のための身近なツールとなった。企業や政治のスローガンを揶揄するために、「subversive(破壊)」と「advertising(広告)」を合わせて「subversive」と言われている。

Derek Fridman and Heather Alexander and Urban Mediumによって作られた上の「Chetrooper」は、人々がチェゲバラの歴史的背景を知らずに服やバッグにつけていることに対するストレスを表現した、皮肉なチェゲバラのイメージである。

ストリートファッションとステッカーアート

グラフィティの歴史や文化と結びつき、ストリートファッションブランドはこのトレンドを取り入れて成功した。むしろステッカーアートよりも成功した。ブランドネームがスケートボードやスノーボード、サーフボードにアーティスティックに表現されるというのは完璧な広告だ。たくさんの小さなビルボードが街中で歩き回ってるようなものなのだ。

上で見られるように、シンプルなロゴは様々なスタイルで表現され、時には有名アーティストやデザイナーによって、購買意欲を刺激する限定版製品に使用されたりする。

音楽とステッカーアート


A musical selection from Stickers: Stuck Up Piece of Crap – From Punk Rock to Contemporary Art

ステッカーはまた、音楽とも長い歴史を持っている。青と赤の政治的主張のステッカーと同じように、車のバンパーに貼ってあるバンドステッカーをどれだけ見たことがあるだろう?どの音楽ジャンルに属しているかは問題ではない。Grateful DeadやRolling Stonesから、Sex Pistols、Sonic YouthもしくはWu-Tang Clanまで様々だ。これらのバンドは商業的にも印象に残るビジュアルを持っているのだ。

アンディウォーホルとステッカーアート

どれだけ庶民の間から広まったメディアでも、知識層の文脈を無視することはできない。安価で大衆性を持つステッカーアートにおいても同じように、より有名なデザイナーの心に入り込んでいくことになった。


歴史的にも世界で最も有名なアルバムジャケットとして、アンディウォーホルはバナナのステッカーをVelvet Undergroundのアルバムに使用し、めくるとぼんやりと肌色のバナナが見えるようにした。


Image via My Modern Met

また、誰がステッカーアートは批評への具体的な体験でなければいけないと言っただろう?草間彌生のインタラクティブアート「Obliteration Room」は、郊外にあるような、真っ白い平凡な家から始まる。展覧会を通して、鑑賞者は色付きのステッカーで埋め尽くすことができ、空間をカラフルな爆発する空間へと覆い尽くした。Tateギャラリーでの様子をtime lapseで見てほしい。


このように、ステッカーアートは私たちの生活のあらゆる所に入りこんでいる。
他にも面白い使用例があれば是非教えてほしい。


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