フードテック・スタートアップから学ぶビジネスデザインの4つのポイント

Source

IDEOデザインディレクター・ビジネスデザイナー

どんな企業も抱える共通の課題。それらに対するフードテック・スタートアップの革新的な取り組み方から、ビジネスデザインの4つのポイントを考える。

IDEOのビジネスデザイナーとして、スタートアップはとても参考になる。どのように魅力的な提案を作成しているのか。どのように競争面での優位性を見出しているのか。そしてスタートアップから得た情報をどのようにクライアントに伝え、成功へと導けばよいのか考える。昨夜参加した「Navigating from Clicks to Mouth」というフードテック・イベントでは、PostmatesHampton CreekGood Eggsなどのスタートアップ、また新規参入の会社が特集されていた。

スタートアップも安定した企業と同じような課題を抱えている。その課題に対するスタートアップの取り組み方を学ぶことで、自分がクライアントに推奨するビジネスデザインのリスクマネジメントや、不測の事態への準備ができ、隠された価値を見出すことができるのだ。

ここでは、スタートアップの洞察から得た4つの知識をHow Might Weに対する個人的な回答と共にまとめた(IDEOの思考法How Might Weについては、Harvard Business Reviewの素晴らしい記事を読んでほしい)。

1. 競争優位に立てるプロダクト/サービスの鍵は、それら自体にはないかもしれない

Postmatesでは、「いつ宅配業者が、レストランに配達品を取りに行けるのか」ではなく、「いつ宅配業者が、レストランに注文品ができたタイミングで配達品を取りに行くのか」を予想できる独自の手配システムの構築に多額の投資をしている。

どのようにすれば我々はコンセプトの潜在的競争優位性をさらに追求し、参入の障害を克服できるのか?

自分が新規で宅配サービスを立ち上げるとしたら、おそらく自転車を使うなど宅配は低コストでローテクに抑え、ハイレベルな顧客対応や独自の梱包開発など別の分野に投資をするだろう。

2. 人間によるシステムのプロトタイプには手間がかかる

Good Eggsは、未だに完全自動化を実現していない既存の宅配システムに変更の導入を試みた際の課題について書いている。効率の良いプロセスを探るために、運転手を呼び戻したり、梱包スタッフを再訓練したり、生産プラットフォームをマニュアルで調整したりしたそうだ。

どのようにすれば我々はクライアントに迷惑をかけず、ビジネスに影響のあるビッグインパクトをもらすことができるのか?

例えば、Chipotleでは、Sofritasというベジタリアンメニューをサンフランシスコの幾つかの店舗で試験販売してから、カリフォルニア州に展開し、最終的に全国展開した。Chipotleはシンプルなメニューと早いサービスが人気である。新しいメニューはプロセスを複雑化してしまうため、提供するだけの人気があることを確認した上で定番メニューにしたのである。

3. デジタルサービスでも電話の向こう側には人間が必要

Doughbiesは、どんなにオンライン注文が好まれても、問題があるとユーザは必ず人間と電話で話したがることを強調している。

どのようにすれば我々は提供するものの重要性をデジタルとアナログの観点から評価できるのか?

自分が新しいデジタルビジネスをデザインするとしたら、まずNPS(Net Promoter Score)の骨組みをベースにプロトタイプを作成する。そこで、2つのグループに問題があった際に連絡できる手段を渡す。1つのグループにはデジタルサポートを提供し、もう1つのグループにはコールセンターの番号を提供して、問題を報告してもらう。その後、それぞれのグループからサービス満足度を聴き取り、新しいビジネスのサービスとしてどちらが適しているか判断する。

4. 中間層の消費者を取り込もうとする際に課題となるブランドポジショニングとマーケティング

Hampton Creekでは、卵を使用していないマヨネーズをベジタリアン食品として宣伝せず、標準の価格に設定し、「マヨネーズでも美しくなれる」ことを伝える目立つパッケージデザインに投資する決断のプロセスを公開している。

どのようにすれば我々は1つのブランドをVI(ビジュアル・アイデンティティー)から価格設定、さらにはマーケティングにまで及ぶ複数レベルでの刷新をできるのか?

良い例が有名シェフのDaniel Patterson氏とRoy Choi氏を中心に立ち上げたファストフードビジネスLoco’lである。彼らが目的としているのは、マクドナルドに近い価格設定で、デンマーク風の新鮮なシェフ料理をモダンな環境で提供することだ。


新規ビジネスのデザインには困難が伴う。人材が豊富にある安定した企業であっても、それは同じだ。スタートアップ発の混乱を恐れる代わりに、企業はスタートアップの革新的な手法を研究することで、先駆けになることが可能なのだ。最高のデザインの決断の鍵は細部に宿るのだ。