クリエイティブとマネジメントを両立する5つのポイント

Source

スタートアップの会社では制作者と管理者を行き来しなければいけないことが多い。両方を円滑に行うために、スケジュールやモードを切り替えるための5つのポイントをご紹介する。

毎日どう過ごすかということは、極論すると人生をどう生きるかということだ。

ものを生み出し価値のある仕事をする日々を過ごしたいと願っているものの、実際の生活(忙しい仕事)の中では、私たちはどうもそこから脱線してしまいがちだ。

30分で終わるはずだった急ぎの仕事に半日かかってしまうこともあれば、実際に何かを作るよりも、いろいろな処理の方にたくさん時間を取られてしまうこともある。

これには本当にげんなりだ。私は日々こうした葛藤と向き合っている。

毎週、Crewの社員たちはみんなチームのメンバーに現在自分がやっている仕事を報告している。これは離れた場所で仕事をしているメンバーも一体感を感じられるようにするという意味ではとてもよいやり方なのだが、週を追うごとに、私は自分のToDoリストを見返して自分が実際何かを作り上げられたのか分からなくなっていることに気づく。

他の人間やプロジェクトの管理にまつわる急を要する仕事が、制作のために確保していた時間を奪ってしまうことがよくある。私はSlackとメールを使っているが、1つ1つの通知にいちいち反応してしまう。

何年か前に、エッセイストでプログラマでもあるベンチャーキャピタリストのPaul Graham氏がこれと同じ問題について仕事の日のスケジューリングの仕方には2つのやり方があると提唱していた

管理者のスケジュールは上司のためにある。1日のスケジュールは、1時間ごとに区切られた昔ながらの手帳に書かれている。それに従って時間を使うと、人に会うことは単に実質的な問題に過ぎないものになる。スケジュールの空いているところを見つけ、予定を入れ、それをこなすのだ。
しかし、プログラマやライターなど、ものを作っている人間の間で一般的になっている、また違った時間の使い方もある。彼らは少なくとも半日という単位で時間をとることを好む。1時間という単位ではもの書きやプログラムをうまくやることはできないのだ。1時間では、やっと始められるという程度だろう

残念ながら、我々のほとんどがこの真ん中にいる。純粋に制作だけをする人や管理だけをする人がいるのは確かだが、私たちのように自分でも制作をしている起業家というのは、両方やらなくてはならない。

私たちは1日に使う時間を、管理と制作に、つまり計画と創作の両方に割り振る必要がある。

では、自分の時間を2つの全く異なる仕事に割り振らなくてはならない場合、どうやってそれぞれの仕事が確実に適切な配慮を受けられるようにすればいいのだろうか。

1. 制作だけに専念する時間をつくる

自分のスケジュールを見てみてほしい。どうなっているだろうか。アポや会議で埋まっているだろうか。ちょっとした仕事のリマインダーが入っているかもしれない。または制作と構築に没頭する長時間の予定が入っているだろうか。

スケジュールを見ると、自分の中で最も価値を置いているものが何かが、表れているだろう。

管理者は1時間刻みにタスクを詰め込んであるスケジュールを見て一喜一憂する。時間がオーバーすることはあり得ない。常に誰かが待っているのだから。どこかでチェーンがもつれたら、エンジン全体が動かなくなってしまうのだ。

一方で、スケジュールやTo Doリストは制作者には役に立たない。この記事、このプロジェクトには、2時間ほどかかるなどと予想することはできないのだ。実際のめりこんでみて初めて、どのくらいの時間を要するものだったのかが見えてくるのだから。それに、せっかく美しい流れができている時に、自分が決めておいた終了時刻になったからといって制作をやめてしまう人がどこにいるだろうか。

あなたがどちらのモードにいようが、大切なのは自分の使っている時間を大切にするということだ。

制作の際にこれを実行をする最も簡単な方法の1つは、他のものをシャットアウトして制作に集中することだ。通知をオフにし、気が散る要素をできるだけ取り除き、取り組んでいる仕事だけに没頭するのだ。

管理者がスケジュールに左右されるのとは対照的に、この仕事の仕方は手元のタスク以外のものを全て無視すること、そしてそれを本当に実現させることを意味する。

これはリアクションではなくアクションだ。

Give yourself space
やるべき仕事をするための空間を自分自身に与えよう

これは、制作者のモードの時に「ノー」と言うことを自分に許すということだ。打合せや仕事に関する事柄だけでなく、他の交友関係などに対してもだ。

『ヤバイ経済学』の共著者、Stephen J. Dubner氏は書き物をする時は完全に制作者としてのスケジュールに切り変えるという話をしている。

物を書く時には、私は音信不通になる。メールへの返信は最小限にし、電話にも滅多に出なくなり、どうしてもという誘い以外は全て断る。断れなかった時は私自身必ず後悔するし、行っても注意散漫で不機嫌になってしまうので私を誘った人も後悔してしまうだろう

といっても、何も一度他を遮断して仕事没頭したらそれを何ヶ月も続けなければいけないということではない。邪魔の入らない創作に没頭する時間を1日のうちに数時間作るというだけでもいいのだ。

最初は、この時間の重要性がよく分からないかもしれない。しかしプロジェクトを少しずつ切り崩していく力があることを頭に入れておくことが大切だ。『The Happiness Project』の著者Gretchen Rubin氏は以下のように述べている。

私たちは短い時間でできることを過大評価し、長い時間をかけてできることを過小評価しがちである

制作者になる時間作りを継続しそれを大事にすることは、18時間ぶっ通しでフル回転で何かすることよりも大切なのだ。

2. 時間帯によってタスクの種類を分ける

作業手順を組み立てる時、考えるべきことは2つある。スケジュールと仕組みだ。

あなたの仕組みがスケジュールの下にある構造だと考えてみてほしい。堅実に制作に打ち込める状態を作るのに役立つ、毎日または毎週繰り返せるプロセスだ。

仕組みが骨と皮だとしたら、スケジュールは衣装といったところだ。日々どんな服装を選んだとしても、衣装はその人の体の形に調和しなければならない。

コーダーからCEOになったMattermarkのCEO、Danielle Morrill氏は、制作に没頭する時間ばかりだったスケジュールを、管理側の時間でいっぱいになることを余儀なくされた。彼女の出した答えは、毎日特定のタスクだけをやるという時間帯を設定しカレンダーに入れておくという仕組みだった。つまり毎日似たようなフローになるわけだ。

Manager's schedule

時間をブロックに分けて制作や管理の時間をスケジューリングすると、どの時間がどのモードかということが、いつでも分かるようになる。これで、会議の要望が入ったら管理モードだと分かっている時間に予定を入れ、制作のワークフローを中断させないようにすることができるのだ。

人は繰り返し行うことの集大成である。だから優秀さとは、行為ではなく、習慣なのだ — Aristotle氏

スケジュールは相手の都合に合わせて決めるが、仕組みを使えば自分のモードに合う時間を選ぶことができる。

3. タスクを種類ごとにまとめて作業する

複数の仕事をうまく同時にこなせる人はいない、ということは繰り返し証明されてきた。制作と管理の間を行き来しようとすると、認知に使うエネルギーが大量に消費されるのだ。

仕組みを使うと、時間をブロックに分けるのが簡単になる。そして、その時間を制作か管理に割り当てれば、どちらか片方のタスクをこなしている間、もうひとつのタスクがおろそかになっていることへの罪悪感も軽くなる。

私が気に入っている事例は、CrewのCEO、Mikael Cho氏が実践している「admin Tuesdays(運営の火曜日)」という取り組みだ。彼は、全てのミーティング、管理タスク、運営ワークを火曜日だけで完璧に終わらせる。

同じように執筆やプロジェクトワークに取り組む場合は、タスクをグループごとに分けた方が脳を特定の「仕事モード」に落ち着かせるのが簡単になる。

ベストセラー作家であり、デザイナーでもあるPaul Jarvis氏は次のように説明している

ある1つのタイプの仕事に集中する時間が長いほど、速くその仕事を終わらせることができる。例えば、やらなければならない全ての執筆作業を午前中にまとめれば、5~6本の記事を一気に片付けることができるのだ。完璧だ。または、クライアントのサイトをプログラミングするために丸一日を費やせば、私の脳は「コーディングモード」に切り替わる

この方法は短期間で終わらせるタスクに効果的だが、大きなタスクを一緒にまとめることもできる。そうすることで、次にやるべきことが分かるようになるのだ。

これはライター兼アーティストのAustin Kleon氏が「Chain Smoking」と呼ぶ方法だ。

プロジェクトの終わりに一息ついて次の心配をするのではなく、プロジェクトの最後を利用して次のプロジェクトをスタートさせるんだ

4. 体内リズムに合わせて仕事をする

一日を通してエネルギーレベルの満ち引きはどのように変化するか、ということに関する研究が数多く行われてきた。これは概日リズムと呼ばれている。このリズムに逆らって100%の力を100%の時間で発揮しようとすることは無意味だ。

一般的に、仕事を始めてから仕事モードのピークに達するまでには数時間かかる(午前11時から午後1時くらいの間)。その後、午後3時頃になると急激に仕事モードは降下し、午後6時の数時間前または6時以降に再び上昇する。

workday circadian rhythm

(もちろん個人差はある。しかし驚くことに、ほとんど全ての人がこれと同じリズムになっている

意志の力や決断力というのは限られた資源だ。エネルギーの自然な流れが午前中に高まるなら、メールの返信や基本的な会議、その他集中力の必要ないタスクに時間を費やすのはもったいない。

そうではなく、自分の一日のリズムに沿ったスケジュールを組み、ピークの時間に、最も集中力と注力の必要なタスクを行うべきだ。

5. モードを切り替える儀式を作る

結局のところ、毎日の仕事に最善を尽くすためのルーチンを作りたいというのが、全ての人の願いだ。

しかし、これは小さなタスクではない。成功したアーティストやクリエイターのルーチンに固執してしまうのは当然だろう。

「Routine porn(ルーチンポルノ)」では、制作は簡単な段階をいくつか経ることである、または、その模倣でも同じ結果を得ることができると思わせられる。ルーチンはいつプロジェクトに手をつけるかを決めるのに役立つが、創造的な仕事はブロックで時間を区切る以上のものを必要とする場合がある。それは儀式という1つのまとまった行為のことで、行うと適切な制作モードへと導いてくれる。

しかし、Brainpickingの創設者Maria Popova氏は、ルーチンと儀式はコインの裏表だと言っている。

ルーチンとは、混沌とした毎日の生活を、もっとまとめてコントロールしやすくするためのものだ。しかし儀式とは、日常に魔法の要素を吹き込むためのものである

素晴らしい生活には相反する2つのもののバランスが必要だ。例えば、秩序と混沌、自制と自由、日常と魔法などだ。

good days quote
素晴らしい日々が尽きない。これこそが、得難い素晴らしい人生だ

自分の生活のバランスを考える時こそ、儀式を必要とする制作を行う一方で、ルーチンが必要な管理に時間を割くべきだ。

デザイナーSarah Foleske氏にとって、これはキャスターのPat Kieran氏が毎日居眠りをしている間に、スクラップブックを保管し、時折見返すことだという。また恐ろしいことに、ベートーベンは仕事の前、朝のコーヒー用に豆を正確に60粒数えていたそうだ。

儀式はどんなものであれ、一度知ってしまえば、制作モードに入りたい時に使えるようになる。

自分の儀式と、適切な制作モードへと導いてくれる時間を尊重してほしい。一度制作モードに入ってしまうと、管理モードに戻るために時間を割くのは、あきらめたくなるほど大変だ。

まとめ

制作者から管理者を行き来するのは誰にとっても難しい。

制作業務、またはスタッフの管理業務に偏るのは、大抵原因がある。この2つの業務を同時に行うのは簡単なことではない。

しかし、両方を行う必要があるなら、それを尊重して儀式とルーチンに少しずつ時間を割き、制作と管理の時間を決めたスケジュールと仕組みを実行してほしい。そうすれば、素晴らしく、生産的かつ創造性に溢れた日々を送れ、更に意味のある人生だと感じられるようになるだろう。