ロックバンドから学ぶブランディング・レッスン

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60~70年代のカルチャーにおいて、バンドロゴは大きな役割を果たしていた。デザインは、バンドのイメージを確立するために必須だったのだ。本記事では伝説的バンドロゴを分析し、タイポグラフィー、イコノグラフィー、グラフィックデザインの要素を活かす方法を考えたい。

ドアーズ

The Doors logo
作者不明

ジムモリソンの予言的な名言の数々を考えると、ドアーズのロゴで最も重要な役割を担っているのがタイポグラフィーであることは間違いないだろう。この「doors」はAldous Huxley氏の著書『Doors of Perception』を哲学的にほのめかしたものだ。シンプルで太めの幾何学的な形状、左右対称になった2つの「o」(これにより文字でうまく扉を表現している)、白抜きの文字が、単語で構成されたマークに重みを加える。更に、先頭のねじれた「the」は、サイケデリックな時代を表すと共に、それ自体が60年代という時代を表す印となっている。この書体の変化は小さいが重要な意味を持ち、バンドの個性的なスタイルと時代を結びつける働きをしている。これによって、広がり続ける音楽の歴史の中で、彼らが自分たちを見失わないということを表している。

タイポグラフィーを用いたロゴは、ブランド名に焦点を当てたい時に力を発揮する。人々の記憶に残り、ブランドの個性的な要素を表現できる書体にするべきである。もし、ターゲットが小さな子供の両親であるなら、重々しく主張の強いフォントは避けた方がいいだろう。もし、重低音に特化したスピーカーを販売しているなら、重々しいフォントにするべきだ。

ピンクフロイド

Pink Floyd Dark Side of the Moon
Storm Thorgerson氏

ロック史に残る最も象徴的なイメージの一つ、ピンクフロイドのアルバム『Dark Side of the Moon』のジャケットは、バンド自体を表すイメージになっているといっても過言ではない。ピンクフロイドの最高傑作の一つとなるアルバムで、ジャケットを作成するという難題を託されたのはStorm Thorgerson氏だった。Thorgerson氏の描いた抽象的なイメージはとてつもなくスケールの大きいギターソロや、超越した美しさを感じさせる歌詞をうまく表現している。三角の図形で無数のスピリチュアルな意味を代弁し、虹色のスペクトルでシンプルなイメージの中に深みを創り出す。また、背景を黒くすることで、ジャケットのイメージが強烈になりすぎないようデザインされた。全てにおいて、これ以上にバンドが創り出す音楽を象徴できるロゴは他に無いだろう。

アーティスティックなロゴは、非常に洗練された繊細な手法で企業名と企業価値を結びつけてくれる。ただし、使うイラストは正しく表現された作品にしなければいけない。良いと思えるスタイルのアーティストを探し、アーティストが会社のビジョンを完璧に理解する必要があるのだ。

ローリングストーンズ


John Pasche氏作

あの反抗的な舌のイラストがプリントされたローリングストーンズのロゴは誰もが見たことがあるだろう。これはバンドロゴというものを代表するようなグラフィック作品で、現代ではバンドの曲より良く知られているだろう。このロゴの一番優れたところは、アレンジが簡単なところだ。例えば、舌の部分にイギリスの国旗をプリントしたバージョンなんかがある。この順応性のおかげで、ロゴが新鮮味を失うことはない。更に、プリント媒体の自由度も広がり様々な商品に利用できる。

このような象徴的なロゴには、確実にブランドの市場性や知名度を高める力がある。難しいのはモチーフ選びだ。この伝説的なロゴでは、デザイナーのJohn Pasche氏がミックジャガーの大きな口にインスパイアされ、ローリングストーンズの反抗的なロゴを創ったという。反社会的になりたくない場合でも会社で使えるようなロゴはたくさんある。ブランドを表現する言葉を全て書き出し、最適なモチーフを見つけよう。

ジミヘンドリックス


作者不明

60年代のロックスターの中で、誰もがジミヘンドリックスの顔は分かるだろう。彼の顔のイメージは、アルバムのジャケット全てに使われている。そして、そのポップアート・ポートレートは、もっとも多く再生産されるミュージシャンのイメージの一つとなった。デザイナーが彼のワイルドなアフロに手を加えて完ぺきなイメージを創り上げたことで、ジミヘンドリックスは個性的で異質、サイケデリック、悪びれない大胆さの象徴となったのだ。ローリングストーンズの反抗的な舌のイメージと同じように、ジミヘンドリックスの乱れたアフロは不文律を破り、彼のアイデンティティを引き立たせた。そして堂々と真っすぐ前を見つめる眼差しは、彼が代表的なロックンロールの象徴であることを強く示している。

このポップアート調のイメージにはいくつかのバリエーションがあり、ジミヘンドリックスのアルバムジャケットやコンサートのポスターに使われている。しかし、彼に匹敵する魅力のある人物でなければ、このスタイルをビジネスシーンで使うのはほぼ不可能だろう。


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