デザイン事務所を取り巻く厳しい状況 from サンフランシスコ

Source

Dan SafferがSmart Designはサンフランシスコから撤退すると発表した。2014年の10月には、Adaptive PathがCapital Oneに買収されたことを発表し、業界を大いに驚かせた。一体何が起こっているのか?

Smart Designが撤退した真の理由は分からないが、関連筋の情報から察するに、そこにはサンフランシスコのデザイン事務所を取り巻く、2つの厳しい状況が垣間見える。

1. 人材が獲得できない

資金力のあるIT企業や、十分に投資を受けているスタートアップが、高額な報酬でインハウスデザイナーを増やしている。初めてこの事に気づいたのはおよそ10年前、私の所属するAdaptive Pathでの採用候補者を、破格の額を提示したGoogleに奪われてしまったのだ。数年後FacebookやTwitterもその流れに乗り、今では全てのIT企業がデザイン事務所が捻出できる1.5〜2倍ほどの額をデザイナーに提示している。
以前ならデザイン事務所は「確かに報酬は違うかもしれない。でも我々はデザインに敬意を払い、企業とは異なる方法で価値を与えているんだ。それに、ひとつのことに繰り返し携わるのではなく、幅広い仕事に携われるんだよ。」と説明できただろう。しかし今となってはそうも説明できない。面白いデザイン案件のほとんどは企業内で内製するようになり、勢いのあるデザイナーは面白い案件がある企業側に行きたがる。そしてデザイン事務所より報酬が高いとなれば、迷う理由などどこにあるだろう。

しかしどうも不可解なことがある。企業の求人情報が物語るようにデザインにそれほどの需要があるのなら、デザイン事務所は企業に対しもっと請求額を上げ、デザイナーへの報酬を増やし、IT企業と人材確保の競争をすればいいのではないか。それが人材供給市場というものだろう。

2. 企業が外注を渋る

ところが現実はそう甘くはないらしい。デザイン事務所に勤める友人たちによると「クライアントである企業側が、デザイン事務所にデザインを発注したいという意向が減り、プロジェクトの予算も縮小し続けているのが実情」とのことだ。その原因については「企業が内部でチームを立ち上げ、そこにデザイン予算をつぎ込んでいるからだ」と考える人が多いようである。かつてデザイン予算の20%は社内で使い、80%を外部に支払っていたが、現在ではその比率が逆転しているというのだ。

企業がデザインの価値や重要性に気付くにつれ、内部でデザインを行った方が業績に結びつきやすいとの認識が高まり(我々Adaptive Pathが本の中で奨励していたことでもある)結果アウトソーシングを渋るようになったのだ。

結果として、サンフランシスコのデザイン業界では以前よりも請求額を下げざるをえない一方、人材市場は以前にも増して稼ぎを上げている。これは厳しい状況だ。

Smart Designが他の地域では健全な経営状況を保っているらしいということが、全てを物語っている。先日、彼らはロンドンにオフィスをオープンしているし、主要拠点はニューヨークだ。彼らはサンフランシスコにおけるこの状況に白旗を揚げただけだ。それを責める気にはなれない。