フィードバックでプロジェクトの効率を上げる9つの方法

Source

現在、Basecampの組織運営に関して、抜本的な改善に取り組んでいる。プロジェクトの効率を上げ、スタッフが進捗を共有できるようにすることが目的だ。社内にはBasecampを知り尽くしている優秀な人材が多いので、その集団意識を有効活用できればと思っている。

運営の改善は5~10人くらいの人数であれば難しくはないが、45人にもなると大変だ。たくさんの情報をみんなで共有するのは簡単ではないし、連携して全員がスムーズに仕事を進めるのも困難だ。しかし、それを達成するためにフィードバックを活用した実験的な方法を試すことにした。成功したものもあれば、まあまあ成功したかな、という程度のものもある。これから紹介するのは、苦労して作り上げた方法の一部だ。

1. スクリーンキャストで簡潔に伝える

フィードバックをお願いすることは、何度経験しても難しいものだ。みんな自分の仕事で忙しいのに、その貴重な時間と意識をこちらに向けてほしいとお願いしなければならないからだ。
そこで、自分がどんな仕事をしているのか簡単に伝える方法はないだろうかと考えた。長文のメッセージやストーリーボードでは読み通すのに時間がかかってしまう。

代わりに、進行中のプロジェクトの状況を3~5分程度のスクリーンキャストのデモビデオで伝えることを思いついた。そのビデオを社内全員にシェアし、コメントをくれるようにお願いした。ビデオであれば気楽に見て簡単に理解することができる。ビデオの中ではプロジェクトを作ろうと思ったきっかけや、プロジェクトの目的を話し、目的を達成するために何をしているかを説明した。さらに、プロジェクトの弱点や、不安要素なども合わせて載せた。
以下がそのサンプルだ。
150810_feedback

このビデオを作ることで、自分たちでもプロジェクトの全体像を見直すことができるので、本来の目的を改めて認識することができる。そして、もらえる批判はより詳細で実践的なものになる。

スクリーンキャストは5回くらいやれば、違和感なく録画できるようになる。まずは、ビデオの中の自分の声は変で、自分の顔も思っているものとは違うことを受け入れるのが、成功への第一歩だ。そして、録画すること自体すごく難しいことだと分かってくる。

2. 進捗をオープンにする

数年前、Ryanがオープンな環境でデザインをするという記事を書いていた。その記事の主張を突き詰めて、社内の人間なら誰でもいつでも、他の人が何をやっているかが分かるようにした。現在進めているBasecampのプロジェクトも公開している。週に1回、進行状況をアップデートしてみんなに送っている。私たちはそれを“Heartbeats(鼓動)”と呼んでいる。


(以下画像内翻訳)
Jonas Downey による投稿 2014年10月17日

今週、休暇から戻ってきて、チーム全員でディスカッションを行いました。

当初は、ジョージの手が空いた午後の短い時間をつかって、水曜日の公開を計画しておりましたが、焦りすぎていたため、完全に仕上げるにはもう少し時間が必要と考え直し、その日は公開を取りやめました。

AnnとMBに確認し、いくつか修正を加えたことで、結果的により良いものができました。
以下、その時の修正点です。

  • ディスカッションのページのヘッドラインを少しだけ変えました。

  • プロジェクトのページでディスカッションの数を明確にしました。これで、アーカイブ・ディスカッションがあることが簡単に分かるようになりました。


フィードバックを目的にした場合、このHeartbeatsはプロジェクト自体を公開するよりも有効だった。プロジェクトを進行途中の段階で公開するというのは、散らかった作業部屋を見せるようなものだ。他人のプロジェクトに勝手に入っていくことにためらう人も多いだろうし、そこでフィードバックをするにしても、すでに作業が進んでいるものに対して批判をすることになってしまう(さらに、私たちの会社は田舎になるので、作業部屋ではズボンも履かずに作業している人がたくさんいる)。
それでも、興味がある人にプロジェクトを見せることは有益であり、公開することで予期しなかった役に立つコメントをもらえる機会を作ることができる。

3. 自分と違う視点の人を探す

真実を引き出すには、メールを一斉送信するような簡単な方法ではうまくいかない。一人一人と直接話しをするべきだ。シャイな人たちも是非頑張ってほしい!
私たちはチーム外の人の協力を得て、話しを聞いてきた。例えば、カスタマーサポートの人間や、データのアナリスト、QAの担当者、他にもチームメンバーとは別の角度から問題を見てくれるであろう社内の人間に協力を得た。働きかけなければ、人は自分から意見を言うことはあまりないだろう。しかし、彼らに直接コンタクトを取れば、あなたが思いつかなかったすばらしい意見を言ってくれる確率はとても高くなる。

4. 掘り下げて問題の本質を掴む

以下のようなことを、聞いたり言ったりした経験はないだろうか?

「こっちのほうが読みやすい」
「私は、これのほうが整理されていてシンプルでいいと思う。」
「こっちのバージョンのほうが、ページの中で大事な部分に目が行きやすい」
「これが一番使いやすそうだ」
「この方法ではまとまりがないように思える」

フィードバックの内容自体は悪くはないが、全てが言葉足らずだ。“整理されている”とか“使いやすい”、“まとまりがない”という言葉はほとんど意味を持たない。分類や対比、空間に関しての視点からぼんやりと提案しているだけになる。

こういうフィードバックを受けた時は、もっと掘り下げて質問し、問題を明確にする。例えば、「何かが別のものより読みやすい」と言われたら、その理由や、どのようなデザインが良いからなのか、空白がたくさんあるからなのか、それとも書体の組み合わせがいいからなのか、そんなことを尋ねるといいだろう。

問題の本質が分かれば、解決への道も見えてくる。そして、他の人から意見を聞き出すのも、どんどんうまくなってくるはずだ。初めは「あのさ、このデザイン、見た目が良くなくて変なんだ」などと言っていただけかもしれないが、その代わりに「これは、私たちの普段のスタイルとうまくフィットしないんだ」と具体的に説明できるようになるだろう。このように詳細を伝えられれば、同僚たちも何を改善すべきなのか指摘しやすくなる。

5. 批評と感情を切り離して考える

自分でも力を入れているプロジェクトを作業している時には、周りからも期待されているだろう。その仕事を他の人に公開すれば、自分の立場が危ぶまれるし、ネガティブな反応をされたら、心が痛むだろう。(これは会社全体であればなおさら、危険にさらされることになる)。

しかし、すばらしいものを作り出すための唯一の方法は、それがまだ良いものではないと認めることだ。良いものを作ろうとする最終的な目的は、一番良い解決策を見つけることで、あなたの価値を見出すことではない。
また、自分が本当に思っていることを発言するのを躊躇する人が多いが、それはネガティブなフィードバックを恐れているのだろうか。でもネガティブなフィードバックをもらうということが真実を見つけ出す成功の鍵だ。フィードバックをもらえただけで大成功と言えるだろう。
あなたがやり遂げたものをシェアしたり評価する時には、感情や公平さは脇に置いておこう。もしこれができるようになれば、感情的ではなく論理的に議論を進めていくことが可能になるだろう。

6. とにかく意見を吐き出させる

極端に良い解決法や極端に悪い解決法に人は集中しがちだ。もしその解決策が強力である場合は、明るい絵文字をたくさん散りばめて細かな指摘が少しある程度だろう。もし、解決策が明らかに良くないものである場合は数少ない正直者の同僚が絵文字はあまり使わずに指摘をしてくれるだろう。

もしあなたのチームが優柔不断か、さらに悪いことに無口な人ばかりだとしたら、もっと大きな問題を含んでいる。前に進むための一番いい方法は、チーム全員をかき集めて意見を吐き出させることだ。電話でもスカイプでもミーティングでもチャットでもいいので、直接話をするべきだ。

私たちはプロジェクトがうまく進んでいない時によくこの方法を使う。チームとして技術的に行き詰まってしまっても、今まで個人でやってきた経験がある。その個人がグループとして作業を始める時にそれが生かされる。チームメンバー全員に、心配事や次にやることに関しての賛成意見などを述べるチャンスが巡ってくる。

7. 決断する

もし、全員が反対意見を言ってきたらどうなるだろうか?実行できそうないくつかの方法があっても、その中に信頼できる答えはひとつもないかもしれない。
何を重要視するかはあなた次第だ。変更を加えるのにどれだけの時間を使えるか?どの解決法がうまくいくと思うか? あなたがいいと思えなくても、他の人がそれを強く勧めていないだろうか? 他に妥協策やあなたが思いついていない方法はないだろうか?

問題の答えは状況によって全て違うだろうが、ひとつだけ変わらないことがある。それは、全てはあなた次第ということだ。他人に決断を任せたり、みんなが合意するような意見が出てくるのを待つのは簡単だが、グループの仲間のご機嫌取りに労力を使うのなら、方向性を決めてしまおう。決断をすればどっちつかずの曖昧な立ち位置の人も意見を言えるようになるだろう。もし間違った決断をしてしまっても、取り返しがつかなくなる前に誰かが止めてくれるはずなので安心していい。

8. 失敗は認める

どんなプロジェクトもすぐさま成功への道にたどり着くわけはない。そもそも成功しないプロジェクトもある。私たちの会社では最近進めた10個のプロジェクトのうち2つはスムーズに進まなかった。失敗したうちの1つのプロジェクトは発表前に、一時作業を休んでチームを再編成した。2つ目は完全に取りやめてしまった。何度もアプローチを変えて取り組んだのだが、どう頑張ってもうまくいかなかったのだ。
失敗を認めることは気持ちのいいものではないが、絶対にうまくいかないデザインとずっと格闘しているよりはましだ。そんな製品は誰も発表したいともサポートしたいとも思わない。

9. 愛のあるフィードバックを返す

人の仕事を批評する時は相手のことをじっくり考えて行おう。思いやりをもって、正直に、そして具体的に意見を伝えてほしい。やってみると、びっくりするくらい難しいものだ。
もし余裕がある時は、若手の面倒も見てあげよう。彼らの技術の向上を手助けし、愛のあるフィードバックを返してあげよう。スクリーンキャストのことも教えてあげてほしい。自分の変な声と顔にだんだんと慣れていくという過程を踏んで成長していくことだろう。