SaaSで見るべき4つの重要なKPIと不要なKPI

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Drip(マーケティングオートメーションプラットフォーム)

SaaSのビジネスには、生命体と同じように、全般的な健康状態を指し示す生命の兆候と言うべきものがある。

問題なのは、多くのSaaSの創業者がどの重要業績評価指標(KPI)を追跡すべきか知らないこと、または「虚栄の指標」に重点を置きがちなことだ。

この記事では最も重要なKPIについて見ていくが、まず最初にあまり重要ではない2つの指標について説明しよう。

重要なこと
ビジネス上で追跡すべき指標を把握するシナリオに、決して、全てに万能な1つの指標などない。選択肢には数多くの指標がある。この記事を読んで、あなたがつまらないことに気を取られず、前進の手助けになるデータに注目することを願う。

(それほど)重要ではない指標

何らかのデータを追跡していても、それは持続可能な形で最終損益に影響しないかもしれない。短い間虚栄心を満たし、オフィスでハイタッチを生じさせるような出来事や数字もあるだろうが、それが繰り返し起こったり増加したりするほど物事を変化させるような価値があるとは限らない。2つ例を挙げよう。

1. SNSでのフォロー数

コンテンツを通じて業界の権威になれば、プレスに取り上げられ最終損益に寄与することさえあるだろうが、Twitterのフォロー数は、気にして夜も眠れなくなるほどの指標ではない。あなたの製品よりも、コンテンツのオーディエンスは(恐らく)多いだろうから、会社として積極的に追跡するような指標ではないはずだ。

代わりに追跡すべきこと
すばらしいキャンペーンを計画して追跡し、ファネルの中の人々をハッピーにしておこう。いいタイミングで適切なコンテンツを提供すれば購買サイクルが短縮される可能性がある(Visual Workflowを使えば非常に簡単だ)。

2. トラフィックとページビュー

例えばプレスリリースで取り上げられたり、著名なサイト(『New York Times』や『Forbes』、または大企業のブログなど)に配信されたりすると、急激にアクセスが増加し、カスタマーも多少増えるだろう。そうしたら、チームでハイタッチして仕事に戻ろう。

メディアに大きく取り上げられることは、ブランドの認知度には大きく影響するし、いくつかの高品質なSaaS製品(例えばSlackなど)の成長を助けてきた。しかし、ビジネスの未来のために、この指標だけにフォーカスするのは、16歳で「成功」を夢みてロサンゼルスに行くのと同じようなものだ。

代わりに何を追跡すべきこと
ブランドのエバンジェリスト経由、スケーラブルな有料広告、またはSEOキーワードによるトラフィックとページビューの増加(コンバージョン率は言うまでもない)。

成果につながる4つの重要なKPI

さて、後回しにした方がいいことに関しては述べた。今度は優先すべきことに関して述べたいと思う。下記は、正しい方向を指し示す4つのKPIだ。

1. 売り上げとユーザのチャーン(離脱)

チャーンというのはSaaSの世界では禁句だ。製品を開発する時、あなたは時とともに価値を高め、長い期間ユーザがとどまるよう意図するだろう。ユーザがアプリを離れる率がチャーンだ。この指標は概して月ごとに追跡されており、値が高すぎれば成長を制限する可能性もある。

売り上げが重要なのは明らかだが、顧客基盤を犠牲にしてエンタープライズ契約を獲得しようとするのは賢明ではない。現実には、引き続き現在の顧客に売っていくことになるからだ。新しい月が来る度に、顧客は製品から離れるか、あるいは製品を使い続けるかを選択するのである。

出発点
適切な出発点について、こちらで詳しく紹介している。チャーンを減少させる最善の方法は、製品を売ったあとに新しいユーザーをしっかりサポートすることだ。

以下に、顧客の激しい入れ替わりを防ぐのに役立つ他の参考資料を2つ挙げておく。

SaaSのチャーンを計算する43の方法

許容できるチャーンレートを突き止める

2. 顧客獲得コスト(CAC)

SaaSの重要なKPIは全て大事であるが、この指標の水準によっては、ビジネスから速やかに撤退せざるを得なくなるかもしれない。チャーンレートが高いのに対処を怠れば、苦しみながらの終焉を迎えかねない。だが、返ってくる価値以上のコストを顧客獲得に費やすことは、資金の許すうちしか続けられない。

顧客獲得コスト(CAC)は、ビジネスが成長・継続していく上で決定的なだけでなく、投資家にとって非常に重要な要素である。たとえ出口戦略を持っていたり資金調達ラウンドを計画したりしていても、CACの水準が妥当でなければおしまいだろう。

予測や将来の低コスト顧客獲得法では、投資家の意見を動かせない。

なぜか? 投資家が知りたいのは木の健康状態であり、結ぶ実がいかに大きくなるかの可能性ではないからだ。

出発点
最もシンプルな公式では、ある期間において顧客獲得に費やした金額(例:広告費、手数料など)と新規顧客数から算出する。例えば、第1四半期に2,000ドルを使って10人の新規顧客を獲得したなら、CACは1顧客当たり200ドルとなる。

CACに関する優れた参考資料を見つけたので、以下に挙げておく。

顧客獲得コストの計算方法

SaaSのためのCACの計算・低減ガイド

3. 顧客生涯価値(CLVまたはLTV)

リスト上のこの項目は余分な指標に思えるかもしれないが、もっとじっくり見てみていただきたい。確かに、月間経常収益(MRR)が増加しているなら顧客は離れておらずCLVは上昇していそうだが、チャーンや顧客獲得コストについてはどうなのだろうか。実は、全てが作用し合っているのだ(これについては後述する)。

ユーザーから得られる予想総収益が分かれば、多くの人が考えている以上に、そのビジネス全体を深く洞察することができる。製品とサービスチームが作り出している顧客満足度や、ブランドロイヤリティ、エバンジェリストの数は測定できる。CLVの数値を注視していれば、利益だけでなく成長について把握できるのである。

出発点
製品の価値を上げる方法を突き止めよう。Evernoteの全てのデータを失うことを想像できるだろうか。そのような方向で考えていくといい。

以下に、CLVの計算や向上に役立つ参考資料を挙げておく。

顧客生涯価値の計算方法(インフォグラフィック)

CLVの16の利点

4. 月間経常収益(MRR)

入ってくる金額を追跡することは創業者が好んでやるかもしれないが、これは収益よりもむしろ成長に関する指標だ。MRRを追跡する主な理由は2つある。予想可能な収益に基づいて予測・立案すること(例:予算策定)、そして勢いを測定することである。

SaaSの世界はホッケースティックカーブに取りつかれている。右肩上がりを目指すことは多くの創業者の原動力であり、それが実現しているか確かめる最善の方法は毎月の収益を正確に追跡することである。年間経常収益(ARR)は賛辞の対象となるが、MRRはSaaSにとって典型的な指標なのだ。

出発点
比較的シンプルな指標だが、最近の調査によれば、SaaS企業の5社に1社はMRRの計算方法が不正確だったという。これは30日ごとにどのくらいの金額が入ってくるかの指標ではないし、ましてやいくらもうけているかを示すものでもない。それは成果であるからだ。MRRは、今期の見通しと、成長のために何をすべきかを測定する指標である。

以下に、MRR関連の優れた参考資料を2つ挙げておく。

MRRを理解する(非常に詳細)

SaaSの究極の目標:月間経常収益

全ては1本の木

重要な指標に関して最も便利な点は、それらが一緒に動いていくということだ。追跡していれば、成長の上で問題になりそうな部分を特定できるし、成長を拡大する方法さえ見つかるだろう。顧客生涯価値はチャーンやCACに似た指標であり、これらは全てMRRに重大な影響を及ぼす。

それぞれの指標は、数百万ドル級の製品を実現するまでの過程において互いに作用し合っている。重要度の低い指標や事象に注目することもあるだろう。それらに価値がないわけではないし、追跡すればビジネスが失敗すると言っているのでもないが、他にもっと大切な仕事がある。SaaSの本当に重要なKPIは、企業が成果を上げ続け、年月を経て、より多くの実を結んでいくのに役立つのだ。

あなたのSaaS企業では、どのKPIが重要だろうか?