変人がクリエイターになれる理由

Source

本当に成功するサービス/商品とは最初は奇抜で受け入れがたいものだ。常識にとらわれずにクリエイティブなアイデアを生み出すための5つのポイントをご紹介する。

クリエイティブな能力の中で何よりも重要なのは、斬新でユニークなものを見抜く目だ。これは否定し難い事実だろう。

例として、この数十年の間、業界に大きな衝撃を与えたUberやAirbnb、Amazonについて考えてみよう。これらの企業のアイデアは、一見すると「型破り」だった。

宿泊施設を提供する世界最大手の企業が、物件を一切所有していないだなんて誰が予想できただろうか? 専用の乗り物もなく、専属の運転手もいない移動手段が大人気になるとは思ってもみなかっただろう。

今だから言えることだが、仮に私がこれらのアイデアを何年も前に売り込んでいたとしたら、間違いなく危険人物と見なされていたはずだ。

事業の立ち上げやエッセイの執筆、商品のデザインなど、いずれにおいても現状維持は革新の芽を摘む。だからこそ、仕事では「奇抜な」方法が非常に重要だ。

基準から外れたものは「奇抜なもの」と捉えられる。だが、それらは世間に受け入れられていることに相反しつつも、役立つものである。それは、物事を違う角度から見ることであり、普通は考えもしないような点と点を線でつなぐことなのだ。

イラストレーターのJessica Hagyは、「なぜ奇抜なものが素晴らしいのか(そして成果を生むのか)」という記事の中で、こう語っている。

奇抜ではないものが常に素晴らしいとは限らない。でも、素晴らしいものは必ず奇抜である。

「奇抜な」アイデアが成功する理由

かねてから心理学者の間では知られていることだが、人は今までに経験したことがない状況に置かれると、その出来事をより記憶しやすくなる

この理由を科学的に説明すると長くなるので、かいつまんで説明しよう。

まず「変わった」体験をすると、新たな感覚的印象の認識、処理、記憶をつかさどる脳の領域でドーパミン(動機付けに関連する神経伝達物質)が分泌される。そしてドーパミンが分泌されると、探求心がかき立てられる。さらに 新しい研究結果によると、長期記憶との強い結びつきが生まれるという。

つまり人間の脳は、奇妙なことや例外的なことを記憶するようにできているのだ。

人は心理的に、既知の事柄を裏付けるアイデアよりも、目新しいアイデアに価値を見いだす。

That’s Interesting!』という有名なエッセイの中で、著者のMurray S. Davisはこう書いている。

挑戦をせずに通説を裏付けるだけでは、(読者に)真実であることは認められても、その価値は否定されるだろう。

奇妙なアイデアや要素は記憶に残る。さらに、それらは通説を支持するだけのアイデアよりも、文化的価値があると受け止められるのだ。

新奇性と典型性の最適なバランスを見極める

では認められるためには、自分のやり方を曲げて、あらゆる社会規範に逆らう必要があるのだろうか?

そういうわけではない。何だかんだ言っても、浸透しているアイデアや理論には、それなりの根拠がある。


出典:InVision blog

人間の脳は毎日、膨大な量の知覚情報を受け取っている。そして、それが理由で新しい情報を判断したり、重要な情報を識別したりするフィルタが発達した。

2012年のGoogleの調査結果(PDFで表示)によると、人は初めてウェブサイトを訪れた時、その機能性や美しさを20分の1から50分の1秒の間に判断するという。つまり、まばたきをする程度の時間で、脳は情報を取り入れ、それをフィルタにかけて何が重要かを判断しているわけだ。

これらはすべて、認知的流暢性の概念や、脳がその作業をどの程度「簡単」と受け止めるかに関連している。典型的で一般的な要素は、慣れているので処理がしやすい。そして、簡単だと感じる

逆に、複雑で不規則な要素が多いと、脳は「大変な作業になりそうだ」と判断を下し、それを避けてしまう傾向がある。つまり人目を引き、かつ記憶に残る作品を作るには、新奇性と典型性の最適なバランスを見極めることが重要だ。

「ユニークな」文化を育てる

突飛なアイデアが大きな事業につながったことで、各企業は変わったものを受け入れる姿勢が重要だと認識するようになってきた。以下の2つの例もそうだ。

  • オンライン小売業者のZappos社では、入社面接で「変人度の10段階自己評価」を質問される。

  • サンフランシスコに拠点を置くMethod社の従業員は、「Methodの新奇性を保つ方法」を宿題として出される。

奇人であり、独創的な人物であったOscar Wildeはこう書いている。

想像とは何かを再現することであり、そこから生まれる確かな判断力である

マネをするのは無難だ。すでに広く受け入れられているアイデアにしがみつけばいい。だが、そこにもまた、月並みに堕する危険性が潜んでいる。新奇性や違いを受け入れなければ、卓越した作品は決して生まれない。

インスピレーションを求めている人や、コンペで優位に立ちたい人などは、以下の方法で自分独自の「ユニークな」文化を育んでほしい。

1. 不必要と思える情報も拾う

ここ最近、心理学者たちが注目しているのは、認知的脱抑制と革新的な独創性の関連だ。

知的脱抑制とは、現在の目的とは無関係な情報まで感知してしまう状態だ。ここで、先ほど取り上げた、知覚情報を解析するフィルタについて思い出してほしい。よく考えると、これは独創的な洞察力によってアハ体験を味わう機会を奪うフィルタだとも言える。

人は既知の事柄を裏付けるアイデアよりも、目新しいアイデアに価値を見いだす。

これに関しては、遺伝的に受け継がれる部分もある。だが実証された方法で、一見すると重要ではない変わった情報を取り入れることも可能だ。例えば空想をしたり、自由に思考を巡らせたり、散歩をしてみるのもいいだろう。

実践方法はいろいろあるが、上で述べたフィルタの機能が弱まり、新しい考えが形になった時に、アイデアは浮かぶのだ。

2. レディー・ガガ効果を利用する

1930年代、ドイツの心理学者Hedwig von Restorffは、「目立つものは覚えやすい」ということを発見した。

例として、次の単語リストを見てほしい
リンゴ、車、トマト、犬、石、バナナ、鉛筆、レディー・ガガ、ヘリコプター、猫、チーズ。

さて、何が記憶に残っただろうか? トマトではないはずだ。


出典:InVision blog

このリストの中で、レディー・ガガだけが明らかに目立っていて仲間外れだ。このように、見慣れたものの中に不思議で意外なものが出てくると、それは記憶に残りやすい。

だが、あまりにも「変わって」いると、独創的なアイデアよりも奇抜さが勝ってしまう。人の目を引きたいのなら、親しみやすさの中に、程良く物議をかもすような要素を織り込むことが重要だ。

3. 今までの常識を忘れる

独創的で記憶に残る作品を作るにあたって、自己検閲は大きな障壁になる。

私たちは心が躍るようなアイデアには傾倒せず、より「普通」という枠に収まるように思考回路を変える。次のように自問してしまうからだ。

「こんなアイデア、笑われるだろうか?」
「こんなこと言ったら、怒られるだろうか?」

自己検閲を重視すれば、本当の自分がいる世界を否定することになる。一方、自分の独自性を受け入れることは、独創的な作品を生み出す上で大いに役立つ。

変わった意見を受け入れる場合、重要なのは何を学ぶかではなく、何を忘れるかだ。 — Isaac Asimov

自分が控え目になっていると気づいたら、その理由を考えて、これまでとは逆のことをしてみよう。

4. 異なる点と点を結ぶ

Appleの創設者であるSteve Jobsは、斬新な発想力について質問された際に、「創造性とは物事を結びつけることに他ならない」とサラッと答えた。

本当の意味で革新的で独創的なアイデアというのは、拡散的思考から生まれる。それは普通の人とは違う点と点のつなぎ方をすることだ。

そして、より目新しく、素晴らしい考え方を取り入れるには、より幅広い材料を集める必要がある。

最高の作品を生み出すこと、それは変わったアイデアを採用することだ。

ここでスタンフォード大学の教授であり、作家でもあるRobert Suttonが顧問を務めたソフトウェア会社の話をしよう。その会社ではアイデア出しをする時に、フラッシュカードの束を2つ用意し、1つには技術を、もう1つには業界を書いていた。

そして、それらをシャッフルして、各束からカードを1枚ずつ引く。そうすると何とも変わった(斬新とも言える)アイデアが生まれるのだ。

5. 唯一の失敗は何もしないこと

以下は、作家、ジャーナリスト、そして生粋の変人であるハンター・S・トンプソンの名言だ。

変人がプロになる

最高の作品をつくることは、変わったアイデア、とりわけ一般的な考えと相反するアイデアを採用することだ。

新境地を開き、皆の注目を集め、賞賛される作品を作った人々は、成功よりも失敗した回数の方が多かった。これこそが挑戦だということを言っておきたい。自分の特異性を受け入れることは、常に作品を生み出し、何が成功して何が失敗するのかを知るために実験を重ねることだ。


自分の変わった部分を売りにしてみてはどうだろうか? そして、新たな変化やトレンドは、必ず誰かの変わったアイデアから生まれたということを忘れないでほしい。

Crewのブログはコチラ