Webデザインの5つの敗因、そしてUXデザインへの転換

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チリ人デザイナー。Continuumディレクター、起業家。@shesho


高品質のテンプレート、成熟したデザインパターン、自動化、AI、そしてモバイル技術が、現在のWebデザインの終焉を示唆している。

Webデザインは(ついに!)古くなり、死にかけている。Webページ自体も、もはやインターネット体験の中心にはない。デザイナーが時代に合った存在であり続けたければ、次のチャレンジ、つまりプロダクトとエコシステムへと方向性を変える必要があるのだ。

Webデザインに未来はない。問題発言であることは承知の上で、この記事では、なぜ未来がないのか、そして私たちデザイナーがそれにどう対処していけばいいのかということについて話したい。1つの領域として、Webデザインは既にその可能性を使い果たしている。新興テクノロジと文化のトレンドとの連携によって、より広いアプローチへの必要性が高まっている。

まずは、この差し迫った終焉の兆候から見ていこう。

敗因1: テンプレートによるコモディティ化

最近Web上で目にするコンテンツのほとんどは、何らかのフレームワークやサービス上で稼働している。例えばWordPress、Blogger、Drupalなどだ。フレームワークによってfoundationとショートカットが提供されるので、苦労してWebサイトを作成する時間が減り、コンテンツの制作にもっと時間をかけることができる。

こういったフレームワークがあちこちに存在するようになった結果、世界中の無料と有料のテンプレートを使えば、プロのようなデザインで数分のうちにスタートできるのだ。テンプレートを使い、わずかな費用でまあまあなデザインを達成できるとしたら、Webデザイナーを雇う意味はない。実際、既成のテンプレートをただ拾って、何かちょっとしたブランディングのカスタマイズを施して済ませるWebデザイナー(特に安いほう)も多いのだ。

どちらにせよ、もしあなたのWebページが標準的で情報提供を目的としたものならば、そのためのテンプレートが存在しているだろうし、あなたに代わって仕事をしてくれるだろう。

敗因2: Webのデザインパターンは成熟している

Webデザインに関する最近のイノベーションをいくつ挙げられるだろうか? レスポンシブデザイン? デジタル時代の遺産だ。パララックス? 見かけ倒しで使い物にならない。Webはすべてのユーザインターフェースのコンポーネントと、今からしばらくは必要とされるパターンを使い切ってしまったのだ(パララックスはそもそも不要だった)。ですから、最近はWebパターンのイノベーションはあまり見ないのだ。

成熟したということは、ユーザにとっては良いことだ。日々Webを使う際に一貫性があるからだ。チェックアウトのフォーム、買い物かご、そしてログインページなどはどれも似たような動きをするはずだ。この時点で創造性を発揮しようとすることは、あまり意味がなく、かえって害を為すことになりかねない。

敗因3: 自動化と人工知能は既に実用化されている

現在、Webデザイン自動化の新たな傾向があり、議論の余地はあるかもしれないがThe Gridが既にサービスを始めている。これは人工知能に基づいてデザインの意味的な決定をし、ベーシックなWebサイトを構築するというものだ。コンテンツの分析を行い、あなたのサイトに最適なレイアウト、色、フォント、そして他に追加で画像などを検知してくれる。巧妙に選ばれたベーシックデザイン(これは人間が作成したもの)を使えば、失敗する可能性は少なく、平均的なWebデザイナーが作るよりも良い結果になるだろう。

自動化がうまくいっている場合、その実践と基準は人間のインプットをほぼ必要とせずに確立されるということを意味する。そして、この動向は始まったばかりだ。今後、どのサービスがより優れたデザインを実現できるか、より激しい競争があるだろう。そして人間の介在はもっと少なくなっていくのだ。

敗因4: Facebookのページが、新たな小規模ビジネスのホームページの役割を果たす

1990年代の後半、未来志向の企業は.comや高額なホスティングサービスを購入し、“Webマスター”を雇って、インターネットの残りの世界に対して自社の存在を周知させるためにWebページを作成したものだ。2005年までには、例えばあなたが新しく結婚写真撮影スタジオを始めたとして、BloggerやWordPress.comなどでサイトを作成すれば十分事足りるようになった(しかも速くて無料だ)。

今日、この機能は完全にFacebookによって置き換えられた。無料ですぐ使え、素早く広まるようにできていて、10年前なら大企業でしか使えないような強力なツールを提供している(更新のサブスクリプションや、メディアポスティングなど)。そして、プロフィールページを設定するように簡単にできる。これはビジネスを周知するのに大変有効で、ベーシックなWebページの存在価値を塗り替えているのだ。

敗因5: モバイルがWebを死に追いやる

携帯端末からアドレスを直接打ち込んでWebサイトを訪問することはどの程度あるだろうか? アプリを持っていない場合だけだろう。最近はWebページという観点で考えられることは少なく、デジタルブランド、つまりアプリやサブスクリプション(いいね!の数やフォロー数など)が考慮されるようだ。だから、多くの大規模Webサイトとポータルがモバイルアプリを勧めてくるのだ。ホーム画面にないものは忘れ去られてしまう。
モバイルWebというのはいつも遅く、厄介だ。アドレスを打ち込むのも、タブを使って操作するのもおかしなものだ。パワー不足のモバイル端末と、飽和したデータネットワークでは、デスクトップ機でのようなスムーズなWeb体験は無理だ。

反応の早いWebデザインと同じように不可欠なのは(デジタル自殺が進行しつつあるのを認めることではなく)、モバイルサービスであなたのページを見られることを保証するということだ。そもそもユーザが存在に気付いたとしてだが。ユーザの脳内の限られたスペースは既にアプリのことで一杯なのだ。

Webサービスの隆盛と、あなたを見つけるコンテンツ

実際のところ、Webページはこれ以上増やす必要はなく、減らすべきだ。既に多すぎるWebページが、人々の注目を競い合っている。そしてこれらのページは、私たちがいつでもポップアップ広告を閉じ、階層化したナビゲーションを探検し、トランジションやイントロやエフェクトを称賛の目で見つめているはずだという身勝手な想定の上に成り立っているのだ。
しかし、大切なのは、ページ上の見た目をどうアレンジするかということではない。大事なのは、特定のユーザの必要とするコンテンツなのだ。だからこそGoogleはページを更に開かなくても済むよう、検索結果に実際のコンテンツを表示し始めた。例えば、モバイル端末から近くのレストランについてGoogle検索したら、検索結果には直接そのレストランに電話をかけられるボタンが掲載されている。そのレストランのページを見に行く必要さえないのだ。Webページデザイナーの自意識と、訪問者数のカウンタには影響があるかもしれないが、結局のところユーザ体験は改善しているのだ。

時代はSiriのようなデジタルアシスタントの方向へ向かっており、Android M対応の変更をかけたGoogle Nowがアナウンスされた。これらのサービスは、あなたが必要とする情報の断片を抽出して、必要な時に提供してくれることを意図している。これはWebページからWebサービスへの転換を示唆している。自給自足の情報の断片が他のサービスと統合されて、価値を創出する。だから、レストランを探している場合、FoursquareかYelpでレビューをチェックし、Google Mapsからは行き方を、Wazeで道路状況を参照するのだ。

更に言えば、私たちはコンテンツ消費のプッシュベース、つまりリクエストしなくても適切な情報が届く、というモデルへと移行している。例えばGoogle Nowは、会議の時間に間に合うには何時に出発しなくてはならないかを予告してくれる。これらのことはAPI、つまり他のサービスとあなたのデータとを交流させるインターフェースのおかげで起こっている。この世界ではWebページの出番はありません。

Webページがなくなるとは言うつもりはない。当分存在し続けるだろう。ある特定の目的には便利であり、将来もそうありつづけるからだ。しかしデザイナーにとって面白いようなことはもうないだろう。これらはコモディティであり、媒体であって、デジタル製品とビジネスに最初から必要なものではないのだ。

Webページは、見つけて訪問する必要のある静的コンテンツだ(プルベース)。しかし、隆盛してきているプッシュベースのパダライムでは、コンテンツがあなたを見つけてくれる。あなたの状況や、更にはバイオメトリクスから入手したデータを通じて、コンテンツとツールが、最も必要とする時に如才なく姿を現すだろう。

新種のスマートウォッチの目玉はこれだ。あなたの身体からデータを入手し、積極的に、あなたの脳が熟考するための小さな情報の断片を見せてくれる。コンピュータのテクノロジは、あなたの見えないところへ消えていく、大きな一歩を踏み出しているのだ。

私たちはどうなるのだろうか。

Webデザインにお別れを、UXデザイン万歳

いい知らせがある。デザイナーの仕事自体が古くなってしまったわけではない。まったく逆で、UXデザイナーへの需要は上昇しており、最近はどこもデジタル製品のデザイン変更をしているようだ。

この、WebデザインからUXデザインへの転換は、Webページからデジタル製品、ツール、そしてエコシステムへのシフトに直接起因している。Webページはより大きなものの一部に過ぎない。すなわちモバイルアプリや、API、ソーシャルメディアでの存在感、サーチエンジンの最適化、カスタマサービスチャネル、物理的な位置など、すべてがユーザのブランドや製品、サービスとの体験についての情報を与えているのです。Webチャネルの面倒を見ているだけで仕事をしている気になり、価値を創出できるふりをしていては、良くて無知、最悪の場合は有害になるだろう。

そしてこれらのすべての接点をデザインし、計画し、管理していく必要がある。これはチャネルに関わらず、存続し続ける仕事だ。スマート家電、仮想現実端末、バイオニック・コンタクトレンズや、この先数十年で発明されるものすべてに対して、密着した体験と、価値のあるコンテンツが必要なのだ。

実際、テクノロジがバックグラウンドへと見えなくなっていくにつれ、私たちが目にすることのできるのは、それらによって変換された価値だ。仕事を続けていきたいデザイナーは、コンテンツと価値をチャネルにまたがって管理していく必要がある。

今は私たちが成長すべき時だ。この問題を起こすのに私たちも加担してきてしまったからだ。参照され、作業に要した時間と同じだけ報われて当然と想定する、独りよがりのWebページの誕生に寄与したからだ。以前にも増してコグニティブ・コンピューティングのノイズに満ちあふれた世界で、世界はシンプルで知的、かつ統合された情報のエコシステムを必要としている。デザイナーがこの必要性を早く受け入れれば、それだけ未来への備えは万端になるだろう。


続く → なぜWebデザインは終焉を迎えるのか、さらに考える


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