記事タイトルを付ける上で最も大事な点

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優れた見出しを書くにはどうすれば良いか? それは5分ほどあれば分かるだろう。

  1. Googleで「タイトルの付け方」で検索する。如何に人を惹きつけ、読まれシェアしてもらえる見出しを作れば良いか、その手法を科学的に説明する記事がたくさん見つかる。
  2. 2分後には、よくまとめられた『○○すべき10の理由』といったテンプレートやコツ、Howtoなどが手に入る。
  3. 5分以内には、人は質問されると答えを知りたくなる理由だったり、人は誰もが仕事術や儲かる話に弱い、という心理学的内容がすっかり頭に入る。
  4. おまけに、10人中8人は見出しを読むが、本文を読むのはたった2人だけ、という素敵なデータのおまけまで付いてくる。

もし、これまで見出しを重要視してこなかったり、効果的と言われる手法を試して来なかった人でも、もうお分かりだろう。どれだけ豊富なコンテンツがあろうとも、まずは見出しだ。見出しこそが、人目に付き、人を惹きつけるための唯一のチャンスになることがほとんどだ。

しかし、良い見出しとは単にクリックを誘発し、記事のPVを上げる手段であってはならない。良い見出しとは、読者との信頼関係を築き、再度訪問してもらえるよう、誠実で安全な環境を作り上げエンゲージメントを高める、最初のチャンスなのだ。

読者に正しいメッセージを伝える

如何なる文章にも1つの大きな目的がある。それは、次の文章を読ませることだ。 — Brian Clark, Copyblogger CEO

これが真実なら、何を書くにせよ、最も重要な文章は見出しということになる。見出しの役割は本文よりもはるかに重要だ。この記事に時間を投資してくださいと読者に直接呼びかけるツールとなる。

逆に見出しは、我々が記事の中で果たすべき約束と捉えることもできる。見出しは「筋書き」のようなもので、その後には結末が必要となる。結末がないと読者は騙された気分になるだろう。

以上が、見出しの最も重要な部分は誠実さだということの理由だ。より多くのクリックを獲得できるとされるTipsや小技を使うよりも、誠実さの方が記事を最後まで読み切ってくれることに繋がるのだ。誠実さは信頼を築き、信頼は再訪してくれる読者を生み出す。

読者を失うのはたやすい

信頼を築くのは極めて困難だが、残念なことに、壊すのは極めて簡単だ。 — Thomas J Watson, IBM one of the first CEOs

時間をかけて記事を最後まで読んだのに、見出しに騙されたとあっては腹立たしいことこの上ない。


信頼を築くには長い年月が必要だが、それは壊すには1秒もいらない。

調査や優れた文章の執筆に時間と労力を注ぎ込んだとしても、冒頭から不誠実なのであれば、その記事は無駄になってしまうだろう。なんのために不誠実な見出しを書くのか? ほんの数クリックを稼ぎたいのか?

誠実でない見出しは、瞬く間に読者の信頼を失う。

本文と齟齬のない誠実な見出しは、ターゲットにあった読者を本文に誘う。彼らはあなたの1000人のファンとなり、仲間となる。あなたの書いたものを読んでシェアしたいと望む人々だ。

誠実な見出しを書くための4つのTips

冒頭で述べたように、見出しの付け方に関しては数多くの情報源がある。よく検証された、効果を出すためのTipsは実際役に立つだろう。しかしそれら情報の多くは、読者がクリックした後の期待値を考え、誠実な見出しとするための方法については語られていない。

そこで、私が普段投稿する前に実際行っている、見出しをチェックするための4つのポイントを紹介しよう。

1. 見出しが主題に添っているか確認する

見出しは、いくつもの役割を担わなければならない。見出しには読者の注意を引き、魅力的な本文へ読者を送り出す勢いが必要だ。しかし見出しの役割はそれだけではない。

誠実な見出しを作るということは、単に注意を引こうとするだけでなく、その記事の世界への入口を作ることを意味する。

ある考えや判断を人の頭の中に植え付けられてしまうと、その人の心を変えさせることはほぼ不可能だ。悪い噂を聞いていた人と初めて会うときを想像してほしい。あなたの心は無意識にその人に関する「既に知っている悪い噂」の確認をしようとする。さらに自分の意見に反する事実を無視するようにさえなる。これは、心理学者が確証バイアスと呼ぶものだ。

これを記事に当てはめてみると、見出しとは噂だ。読者が実際の本文に出会う前に得る、最初の小さな情報となる。その後読者が安心するためには、彼らが見出しから知った情報が、記事本文において確認できなければならない。

つまり見出しは読者がいつでも戻って参照できる主題文であることが必要だ。本文に複雑難解な長文の説明が出てきた時、読者は素早く見出しに戻って、何を語っていたのか確認するだろう。見出しが主題に添うことによって、読者は再びその記事の世界に地に足をつけて立つことができる。

見出しを描くときは「この見出しは、本文の主題に応えているか」と自問し続けよう。

2. 結末に向けた筋書きを意識する

映画の脚本で最も重要な原則の1つは筋書きと結末だ。

筋書きが約束であるなら、結末は約束を果たすことだ。

『テルマ&ルイーズ』の例は有名だ。映画の前半で、テルマが荷造りをしているとき、気まぐれから銃を放り込む。もしテルマが後で銃を使うことなく映画が終わってしまったら、観客は困惑するだろうし、騙されたとさえ思うかも知れない。

この考えを上手くまとめたのがロシアの劇作家アントン・チェーホフで、次の言葉が有名だ。

もし、第1幕から壁に拳銃をかけておくのなら、第2幕にはそれが発砲されるべきである。そうでないなら、そこに置いてはいけない。 — Anton Chekhov


チェーホフの銃

見出しを書くときは、読者が記事を読み終わったときに知る結末に向けた筋書きとして、見出しを考える必要がある。

パズルのピースがぴったり合って、期待に沿った結末を知ったときに、読者は満足し、達成感を得るのだ。

3. 読者がなぜその記事を読むのかを考える

ジャーナリストは皆、バランスのとれた記事を書くための5W(Who、What、Where、When、Why:誰が、何を、どこで、いつ、なぜ)の大切さを説く。私にとって最も重要な要因は、特に見出しを書くときには、Whyだ。「なぜ」は他の全てを統合する要因だ。誰、何、どこ、いつ、を結びつけて理解するための糸となる。

見出しを書くときは、その前に、なぜ人はその記事の続きを読みたくなるのかを考える。例えば、何か新しい事を学べるから?(例:避けるべき5つの弱い言葉)それとも特定の洞察が得られるかも知れないから?(例:私が立ち机を殺した理由)「なぜ」を見出しの形にして、次に、本文でその問いに正しく完全に答える、読者が騙されたと感じさせてはならない。

「なぜ」を突き詰める事によって、見出しにコンテキストを与えることができる。それにより読者には指針が与えられ、読者は記事の残り全体の進むべき方向を知ることができる。もしそれがなければ読者は道に迷い、あげくの果てに、なぜこんな記事を読んで時間を無駄にしたのだろう、と思うことになる。

4.単刀直入に書く

まわりくどい文は避ける。

私がこれまで書いた中でも人気があった記事のタイトルが「私が書き方を忘れた理由」だ。これは書くのが辛い記事だった。自分の不安を記事にしたためることが恐ろしかった。しかし書き終える頃には、自分が誰であるか、自分には何ができて何ができないのか、を人々と共有したい、という思いが強くなった。

この記事の内容には、再び執筆の流れに乗るための方法についての提案をいくつも含んでいたので、「文章力を取り戻す6つのステップ」や「文章が上達する簡単なコツ」といったタイトルにすることもできた。しかしそうはしなかった。

代わりに、自分の意見の核心を正確に表すタイトルにした。その見出しは、記事が何に関するものなのか、つまり、私が書く力を失う原因となった、私生活と仕事での出来事に関するものである、ということを正確に伝えていた。

読者が「執筆に関する不安をどう乗り越えるか」まで読み進めた時、読者はタイトルを思い出し、私が予めタイトルで約束していた「自分の問題をオープンにする」という問題をどう本文の中で語ってきたかを理解する。ここで全てが繋がり、共感を得ることとなる。

心に正直に書き、不安を断ち切るには時間と勇気が必要だ。しかし説得力のない見出しや誤解を招くような見出しでごまかしてはならない。自分が何を書いているのかを正確に伝えよう。それができないのなら、その記事は公開すべき記事では無かったのだ。


私は読者に自分の記事を最後まで読んでもらいたいと思っている。それが我々Crewのブログ評価基準だからだけという訳ではなく、私の個人的な価値観と職業的な価値観の双方に沿うからだ。

自分や寄稿者が書いた記事をブログで公開しようとするとき、私は、その記事に本質(つまり読者が興味を持って最後まで読み、願わくば周りの人と共有してくれるようなもの)が詰まっていると思いたいのだ。

誠実さは、本文の冒頭の数行で語るより、見出しで語ればより早く示すことができる。見出しは、読者層に誠実さを伝えなければならない、最初の重要なチャンスなのだ。チャンスを逃してはならない。